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01 或(あ)るマスターの呟き

※本日9:00.12:00.15:00の3回投稿します。



私の店に来たお客様には、願わくはみんなたのしんでいただきたい。




ここは、1000人の冒険者サバイバーが殺し合う広い広い島です。


バッチをつけた冒険者たちは、闘い合うもよし。


協力するもよし、裏切るもよし。


逃げ回るもよし、奪いにいくもよし。


うーん、自由っていいですね。



まあ、普通に考えれば金持ちの道楽で殺されてはたまったもんじゃないですが。

残念ながら、世界には殺される前に死んでしまいそうなくらいの貧困にあえぐ人間が存在するのです。


まあ、命の狙い合いに休みは無いですが、生活は保障されますし、家族への遺族年金も出ます。

本当の底辺から抜け出したい者たちにとって、一攫千金のチャンスともいえるからか、志願者は後を絶ちません。

こんなのが娯楽で、経済を動かしている合法的なビジネスだなんて、本当に人間の世界は狂っていますね。現代の闇というやつでしょうか。


この見世物は、13ヶ月の間ずっと続きます。

そのため、少しずつ人員は減っていきます。

13ヶ月目の1日に、1000人の冒険者サバイバーが新しく選出されます。

足りなくなった人員は13ヶ月経たないと補充されないのです。


13ヶ月の間に、自分の他の、999人の冒険者を倒して残った者が勝者となります。


そのような英傑は『勇者』と呼ばれ、称えられます。

ぱぱーん。


勇者は富も名誉も権力も、全てを手にすることができるのです。


夢がありますねぇ。


ただ、そんなことができるのは、極めて才能と運と圧倒的な力に恵まれた生まれついての覇者のみ。

冒険者側も、もはやそんな夢物語のようなことは、誰も期待していません。

この広い島で、建物に隠れた999人を探し出して殲滅するなんて、ほぼ不可能ですからね。


弱者は弱者なりに、ダンジョンで小金を稼いだり、建物を作って隠れたりして、したたかに生きていけます。

徒党を組んで街を作る者たちもいますね。


ああ、ギルドや街には、サバイバーではない一般人もいるのですよ。

商人や、宿屋、武器屋も必要ですからね。

ただ、子どもを増やしてはいけないので、生殖行為は禁止です。

皆さんうまーくやってらっしゃるようですね。

そういう島なんです。


私などはそんなことにはとうに興味など無くなって、今はもっぱら酒場の経営に勤しんでいます。

殺し合いや、狩りや、略奪と戦う冒険者たちのオアシス。


これはこれで、やりがいがあって面白い仕事です。

今日もまた、お客様が。

こないだ書いた短編の話をちょびっと広げてみました。

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