《魔王の花嫁》
今回から第二章入ります。
プロローグですので、短いですがどうぞー!
誓いは契り。契りは誓い。
魔王は誓った。勇者は契った。
解ける事ない、まやかしのままの盟約を。
それでも亡者たちは祝福する。
青年と少女が巡り会う、何より幸福な運命に。
それでも生者たちは狂喜する。
雄と雌が惹かれ合う、何より寿ぐべき欣幸に。
それでも神々は恐怖する。
――勇者と魔王が結ばれる、保たれてきた普遍の狂気的平和が崩れることに。
誓いを契り、少女は青年を愛することを誓った。
神が築き上げてきた遊戯盤を叩き割る、謀反の歩兵が呪いの腕を振り上げる。
虚像の鏡をも砕き割る魔王の指は、しなやかに弦へと絡み天上の神へと弓引いた。
――罰されるべき存在。一体それは、何人のことであろうか。
罪の名は神。神は罰されるべくして生まれた、人の落とし子。
勇者は魔王の贄となりて、神を掲げるものではない。
少女は青年の光となりて、神を打ち滅ぼすものなり。
(――この身が光の眷属である以上に、わたしは貴方の何かでありたい)
【Episode.2】The Story of Satan → Satan's Bride
第二章はコメディーよりになると思います。