支配者の立ち位置:或いは屋根の見えた箱の中
取り敢えず今週は生存。2000文字未満でこの時間か(困惑
作者コメント
人は人の上に人を作らず:出る杭は打たれるものである
人は人の下に人を作らず;出る杭は打たれるので必然である
世界は発展し続け、資産は増え続け豊かになる:地中から掘り出す限り当たり前であろう
支配者:アレキサンドロス
彼は、他者から王者と称される。
公開されているサーバー管理者の内の一人。
サーバー保有者の一人でもある。(基本的にサーバーの保有は、企業の物であったが、会社という概念が形骸化し、寿命の関係もあり、実質的な所有者でもある)
彼は高い能力と、野心によって数々のイベントを打ち立て成功させてきた。
彼は間違いなく、この世界で誰よりも多くの権限を有していた。
資本、金は確かに存在する。しかし、それ以上に権力が今の世の中重要であった。
或いはカリスマである。
今の世の中、働かずとも生きていく事だけならいくらでもできる。
一方で、そこから生み出される数多の娯楽、快楽は確かに多額の金を使用する事によりその一端を感じる事も可能である。
だがそれ以上に他者に対し、娯楽を提供する、詰まる所のギブアンドテイクの状態にすることによってのみ、効率的にそれを享受できた。
唯一つの娯楽に対し、多額の金を費やすなどあまりにも浪費であった。
そして、娯楽以外に関して、それでは何も得られないのである。
であれば、無駄としか言えないであろう。
だからこそ、自らの資本を巨大なプラットフォームとして、生産工場を作ったのである。
数多くの人員、クリエイターや、プロジェクトを管理する、マネージャー。
その他大勢のイベントを成功させるための人員。
そして何よりも、それを成功させるための、未だ衰えぬ強き精神に、意欲。何よりも情熱があった。
彼は君臨し続ける。だが彼はどうしようもなく不満であった。
或いは、どうしようもなく恐怖が彼に付きまとって離れなかった。
彼は確かにこの世界の頂点、或いは限りなく上澄みにいるのは間違いないだろう。
一方で、それが社会を構築するうえで必須とは思えない環境と、自らのイベントをゲリラ的に行う事さえ
より上位の存在が付きまとっている事を常に感じるのである。
「マザーAI」である。
人間社会という縦社会を攻略した彼でさえ、その頂点にいる人外、或いはこの世界の神には逆らえないのである。
何時社会から切り離されるか判らない。
何時今の立場が崩れるか判らない。
昔の成長を続けていた、或いは競争が存在していた時代とは大きく異なるどうしようもなく停滞した彼の世界。
彼はどこまでも飽い、満たされず。されど失う恐怖を恐れていた。
展望者:モランダ・デューへ
「はぁ、何とも窮屈だねぇ」
一人の老婆、そういうには若い体。或いは彼女の精神を象徴するアバター。
「そうでございましょうか?その言葉もかれこれ今日で三度目ですので、そろそろ窮屈というより、ただ暇なだけではないでしょうか?」
それに対する、若いメイドも、涼しい顔で、主人にするとは思えない辛らつな言葉を返す。
「おい、パートン。それは言外に私が年老いていると、そう言ってないかい」
被害妄想なのでは、と涼しい顔で見返すメイド。
「まぁいい。始めこそ、この仮想世界という物はよかった。こういうと自分が年老いているとよく感じるけどね。
なんだっけ?とにもかくにも、一律の生活。己の見たい物だけを見る人民。ある意味これほど幸せな生活もないだろうね」
婆臭いと言いたげな、耳にタコができるとメイドは目をすぼめる。
「はいはい。そうですよ。何度も言ってるわね。ぼやきたくもなるよ。この閉塞感には。
本来であれば、人々は娯楽に打ち込み、消費の概念が変わったと思われたよ。
だけど、人と人の出会い。物事の規律。他にも様々な物が、偶然に、しかし確実な意味を持って偏在している今の世の中。
一見した自由はあくまでも広い広い鳥かごの中。
これだけの顔を持つ私でさえも、どうしても出会えない人間がある。時間が、ではなくそういう偶然が仕込まれているのでしょうね。
何ともまぁ、気の利いた神様だ事」
メイドはいつの間にか次の仕事。或いは饒舌な主人を思い茶をしばきに行ったのだろう。
「私も老いた。だけれど、この命続く限り、次の時代の変わり目ぐらいまでは…。どうにか生きたいもんだねぇ」
或いは誰よりも俯瞰できる立場だからこそ。彼女の発言はどこまでも持っている物の発言で、或いは過去の権力者と同じなのかもしれない。
贅沢その物、されどこの世界の閉塞感を語る者にこれほど適した、神さえも俯瞰しようとする、傲慢なる観測者はのちの為に必要なのかもしれない。
不定期ですが応援してくれると嬉しいです。
是非に評価と、感想欲しいです。
言っても作者、全然してないのでできればで…