welcom world
それは禁断の果実であった。
人類が手にした栄光は、されど本当に人類の火であったのだろうか。
近未来、或いは遠い未来。世界である一つの変革が起こった。
それは情報技術の急激な発展。それに伴う、大量のデータを扱う技術の進歩により、
かねてより期待されていた、仮想現実が急速に発展していった。
仮想現実に求められていた物は、当初は物理空間を無視した、三次元データのやり取りであった。
分かり易く言えば距離を問わない、旅行、体験、仕事等である。
つまり、その空間に意味合いがある。特殊技能により人が限られる、と言った物を場所を問わず共有する事を目標としていた。
しかし、それは現実の拡張を行う概念であったが、徐々に現実を代替する手段としても急激に発展していくのであった。
結論として、人は十分な栄養、体が最低限壊死しない程度の動作を満たす事によって肉の楔から解き放たれていった。
それは本来、誰も信じてはいなかった未来であったが、確かにそれはなされてしまった。
しかし一方で多数の問題を秘めていたのである。
一番大きな問題は労働力である。そもそものインフラ整備、仮想空間を支える各種情報機器。或いは仮想現実にいる際の人の世話である。
人は思考によってのみ生きてはいない。最低でも食を取る事から生物は始まり、
その他、排せつ物などの問題が付いて回る。
そこで労働力の代替として発展していったのは、所謂ロボット、ドローンと呼ばれる機械の群れである。
また、この鉄の体を元として、「AI」が発展。また、この「AI」も高度に発展した各種仮想空間の技術、そもそもの情報技術という基盤を元に急激に発展していった。
当初想定された[AI」の運用と異なる、一つのリーダー個体を元にする蜂のような組織構造をもつ「AI」は人類の想定以上の機能を見せ、無事人間は仮想世界への移住を完了したかに見えた。
当然、全ての人間が普遍的に仮想世界へは移れない。ある種の倫理問題により、一定数の人間。或いは生贄が現実空間に残された。
必然、全ての権利、娯楽、知識。地上に残された物は数少ない。
やがて地上に残された人類は、「AI」の集団に組み込まれるようになり、ある種生体パーツとして、人類その物が地上で生きられるという確認の為だけに、
地上に残された物は生きていた。
世界はいつの間にか、世界そのものの管理者。名目上従っているはずの、マザーAI、その下に有象無象の一般人。実際に現実世界、仮想世界を潤滑に運用するために活動するAIネットワークとその体。
そして、ネットワークに組み込まれた人間。或いはそこから外れたはみ出し者。
5つの構造に分かれ世界は回っていた。
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行っても作者、全然してないのでできればで…




