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Hello again ~昔からある場所~ -8


 忘れられない

  知らない人たちに囲まれて

  たくさんの荷物を持って 辿り着いた所は

  淋しげな それでいて 多くの子供のいる 騒がしい所だった

  知らない子たちは 好奇の目で 二人を見つめた

   仙貴とまゆみを

  知らない子たちの間で 生活が始まった

  弱々しいまゆみは いじめられた

  いじめられ続けた

  それをかばうことが 毎日のすべてだった


 忘れられない

  冬の寒い夜に まゆみがうなされている

  持病が悪化して うなされている

   まゆみが苦しんでるんだ

  誰に訴えても 聞き入れてもらえない

  誰もが 予測していたかもしれない

  誰もが 望んでいたかもしれない

   まゆみが 死ぬ ことを

  ただ一人 願った

   治れと

   生きろと

  まゆみの呼ぶ名は

   そばにいる兄と

   そして

   もう亡くなった両親と


 忘れられない

  別れの日を

  病状が悪化する前にと まゆみは もらわれていった

  お兄ちゃん と叫ぶまゆみは

  連れられる手に 抗う力も残っていないほど

  衰弱していた

  ここへ来てから 衰弱したんだ

  憎むしかなかった

  恨むしかなかった

   院長先生を 養護員を 周りの餓鬼たちを

   そして

   今 まゆみを 連れていこうとする大人を

  まゆみの名前を 叫んだ

  まゆみの声は 車のガラスに阻まれて 聞こえなかった

  あの時 まゆみは 僕の名を呼んだはずだった

  その 最後の声が 聞こえなかった


 そして 自分も連れられていった

  見たこともない風景

  嗅いだことのない 生活の臭い

  馴染めない家での生活

  反抗して 逆らって

   まゆみに会いたい と叫んだ

  窓を割って 叱られて

  テーブルをひっくり返して ぶたれて

  家出して 連れ戻されて

   そして 施設に戻った



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