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Hello again ~昔からある場所~ -7

 由起子は 何か戸惑っているように 見えた

 ―――なに?

 問い掛けても はっきりとした返事が 返ってこない

 不審に思って 向き直っても 由起子は 目線を会わさない

 由起子が追っているのは 由美子の姿

 仙貴も 由美子の姿を 追ってみた

 朗らかな笑顔 華やかな雰囲気

 学園のアイドルとして ふさわしい

 パーティの華として 輝いている

 仙貴も見入ってしまった

 ―――仙貴君

 由起子は ぽつりと 言った

 ―――由美子ちゃん もらわれっ子なの

 ―――え?

 ―――由美子ちゃん 2年生でしょ

    直人君も2年生

    おかしいと思わない

 ―――あぁ そういえば……

 高鳴る気持ちを抑えながら 辛うじて そう応えた

 ―――双子じゃないわ もちろん 年子でもない

 ―――じゃあ ほんとに?

 ―――もらわれてきた時の名前は まゆみ と言ったの

 由起子の言葉は 喧騒の中で 静かに 響いた

 確かに 仙貴の望んでいた名前だった

 ……まさか

 ―――直人君ちの お母さんの名前も 真由美っていってね

    紛らわしいから変えたの

 追い打ちを掛けるように 真実が語られる

 しかし……

 ―――一度 他の家にもらわれたんだけど 心臓病が悪化して 治療が大変だったのそれで 緑川家にもらわれてきたの

 ―――まさか……

 ―――本当に危ないことがあったの

    危篤状態になってね その時 昔の記憶を かなり 失ったらしいわ

 ―――まさか……

 ―――それで 縁起も悪いからって 名前を変えたの

 ―――まさか あの娘……

 ―――あなたに内緒で DNA鑑定をさせてもらったわ

    結果は はっきりしたわ

    あなたたちは 兄妹よ

 喧騒とともに 仙貴の体は 宙に浮いて 空に落ち込んでいくようだった

 兄妹?

 あの朗らかで 華やかな かわいい少女が?

  あの寒々しい部屋で 安っぽい蒲団の中で かすれるように息をしていた妹?


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