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Hello again ~昔からある場所~ -4

 晴れ渡った空の下

  ひさしぶりの学校は 見慣れない世界に 思える

  それでも 姉兄が 付き添ってくれれば 何も怖くはない

 由美子は 初めて自分の足で歩いて 学校に来た

 思えば いつも 夢見ていたことだった

  どうして 自分だけ 特別扱いなんだろう

  どうして 自分だけ 違うんだろう

 諭される言葉は いつも同じ

 ―――由美ちゃんは、体が悪いからね。

  いつも憧れていた 同じ学校に 行きたいと

  いつも憧れていた 自分の足で 歩きたいと

 たった それだけのこと

  どうして それが いけないんだろう

  どうして それが 許されないんだろう

 それが ようやく 叶う

 由理子と 直人と 一緒に 通学できる

 車の中から見ていた 風景の中を 歩くことも 許される

 ようやく 叶った

 あたしの学校に 自分の力で 通う生活が


 不安と 期待で 一杯になったまま

 校内に足を踏み入れると クラッカーが鳴り渡った

 歓迎の音楽も流れた

 舞い散る 紙吹雪

 歓喜の声の中 由美子は迎えられた

 静かに 由美子の前に立つのは 中川圭一

 花束を抱えて 挨拶を始める

 ―――この度は 無事 手術も成功して おめでとうございます

    これは われわれからの お祝いの しるしです

 きりっとした態度で 花束を渡す

 由美子は 戸惑いながら おずおずと それを受け取る

 カメラのフラッシュが 閃く

 歓迎の拍手が 鳴り響く

 由美子は 予想外の出来事に 事態が呑み込めない

 戸惑う由美子を 包み込むように

 学校全体が 歓迎しているようですらあった


 その光景に 出くわした 仙貴たち

 ―――あれが 由美子さん?

 ―――そうみたいね

 噂する声が聞こえる あちこちから

 仙貴は 見つめていた

 由美子を 中川を そして この学校の雰囲気を

 ―――楽しい学校だ

 そう思いながら 罪悪感が もたげていた

 ―――自分だけが 楽しんでいるんじゃないだろうか?

 そう思うと その場を すばやく 立ち去った

  忘れてはならない 現在の行方



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