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魔宝石は美しい  作者: 角田有治
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04 宝石の瞳と魔宝石(アリーネ視点)

意外とまだ投稿続いている方だと思います。

頑張らないと…

「それではバン様は冒険者になるためにハーレンサモンに向かっているのですね」


 わたくしアリーネ・ルテ・ハーレンサモンは、先程助けて頂いたバン様にお礼をする。

 護衛の方達は普段お父様をお守りする程の兵力があり、過去に盗賊が襲ってきた際にも何事もなかったのように戦っておりました。

 しかし先程現れたのはオークの上位種“ブルーオーク”でした。

 ブルーオークは普段森の生き物を食べるため、討伐命令が無い限り滅多に遭うことがないのですが、今回のブルーオークはおそらく何か他の生き物を追って森から出てしまったものだと思います。

 護衛の皆様も必死に戦っていたのですが、さすが上位種と言ったところなのかブルーオークか軽く手を払っただけで護衛達が次々と吹き飛ばされてしまいました。

 もうダメかと思っていた矢先、颯爽と現れた赤髪の少年がブルーオークを一瞬で倒してしまいました。

 その姿はかつていた伝説の英雄が一人“突撃王ハインリッヒ”様を彷彿とさせるものでした。

 しかし周りの護衛達は助けて頂いたのに対して武器を向けていました。

 おそらく先程の戦いを見て、バン様を危険視していると思われます。

 ですがわたくしは、バン様が危険だとどうしても思えませんでした。

 きっとあの、曇りの無いサファイアの様な輝きの目を信じたかったからだと思います。

 わたくしな執事のボリスにお願いをして、彼にお礼をしました。

 わたくし達の様子を見ていたからか、護衛の方達も武器を下ろしバン様にお礼をしました。

 ですが助けて頂いたお礼を言葉だけでと言うのも失礼と考えたわたくしは。


「何かお礼を、そうだわ!わたくし達も今からハーレンサモンに向かっていた途中ですの!よろしければご一緒にいかがですか?」


 わたくしは提案で、ハーレンサモンまでの道のご同行を提案しました。

 ですが、バン様は首を縦に振らず答えました。


「いえ、アリーネ様には申し訳ございませんが、ぼ…私も村から出たばかりでもう少し歩いて村の外を体験してみたいのです」


「そうですか…でもそれだとお礼が…」


「お礼…そうだ!ブルーオークの魔石を下さい!」


「ま、魔石ですか?」


 驚いたことにバン様は魔石だけでいいと仰いました。

 確かお兄様は、「魔石?あれは魔力を持っているが、その魔力を引き出すために魔力を莫大に消費しなければならない。冒険者にとって魔物の耳、素材、魔石の順で価値が下がっていくんだ。魔石を欲しいやつなんてよっぽどの変わり者か、お人好しだけだ」と仰っておりました。


「あの、耳や他の素材は?」


「いや、大丈夫です!だって冒険者でも無いのにいきなりオークなんて持っていったら怪しまれます!」


 どうやらバン様も何か思うところがあったらしく、魔石だけを選んだらしいです。

 ですが、それだと全くお礼になっていない気が…そうだ!


「ボリス、バン様に通行メダルを」


「あの通行メダルって何でしょうか?」


「通行メダルは都市部で発行している通行の際に見せればお金を払わず何度も行き来できるものです。本来はギルドの許可がいるのですが、わたくしの推薦状を添えておきますので門番に見せて頂ければ、すぐにバン様のメダルにして頂けると思いますわ」


「そんな価値のあるもの逆に悪い様な…そうだこれを」


 バン様はポケットから手のひら大のサファイアを取り出しました。


「そんな!これではお礼の意味がありません!」


「いや、そうだなぁ…、これはプレゼント、そうプレゼントってことでそれじゃあ僕はこれで!」


 そう言うとバン様は凄い速さで走っていきました。


「それにしてもバン様はご存知無いのかしら?殿方が女性に瞳と同じ色の宝石を渡すということを…」


 瞳と同じ色の宝石を渡す、それは「私の目を奪った」という告白の意味ですのに…。

 ボリスは貴族内の告白などわからないですよと言っていましたが、わたくしは内心とてもドキドキしてしまいました。


 わたくし達はその後、屋敷に戻りお父様に今回のことをご報告しました。


「そんなことが…、そのバンと申すものはなぜ魔石なんかを」


「それに関してはハルロット様、こちらを」


 ボリスはお父様に、バン様から頂いた宝石を渡しました。

 それを見た瞬間に肩を震わせました。もしかして求婚だと勘違いしているんじゃ!


「あのお父様これは「魔宝石じゃないか!」え?」


「ボリス!まさかこれを!」


「はい、バン様はこちらを何の躊躇いもなくお渡ししました」


「あの、お父様?魔宝石って?」


「ああ、アリーネは知らないだろう、30年前に起こった魔宝石錬成消滅事件を」


「!なんですかそれは」


「この魔宝石は、魔石と異なりほんの少しの魔力で自身の能力を増幅させることが出来るんだ。これを作れるのが魔宝石錬成師のみだったが、貴族達は彼らを奴隷のように扱い魔宝石を作らせたんだ。しかしある時事件が起きた、彼らは魔宝石を全て魔石に戻し、自らの心臓を魔宝石のように結晶化させて死んだ。これにより魔宝石錬成の技術は消滅したんだ」


「つまりバン様は」


「…おそらく最後の魔宝石錬成師だろう」

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