中2-秋(1)
横田沢翼、進路に関してモヤモヤしている中学2年生。
将来何になりたいか、そのためにはどの大学に行くか、その大学に行くにはどこの高校に進んだ方がよいのか。先生たちからは口酸っぱく言われている。正直、何になりたいかなんて分からない。なりたい職業に就けるのだろうか。というか、自分がなりたい職業自体分からない。
「兄貴は何で大学に進んだの?」
翼はベッドで寝転んで雑誌を読んでいた空也に進路の相談をした。
「急に?」
「今後の進路のための参考にと」
「そんな季節か…」
「何の職業に就きたいか考えて進路を決めるようにって言われているけど、何になりたいか分からないんだよねぇ」
読んでいた雑誌を閉じて翼の方を見た。
「俺が今の大学に進んだのは、理系の科目が得意だったことと、より深く学びたいと思ったことが大きな理由。就職に関しては何も考えていなかった」
「そうなの…」
「就職先で学んだことを生かしたいとは考えている」
「来年から就活だけど、そんな調子で大丈夫なの」
「大学院に進む予定だから、就活は当分先」
「…えっ」
「講義や先輩の話しを聞いていたら、もっと学びたくなったんだよ」
学びたいか…。翼は勉強が嫌いではないが、大学院に進学してまで勉強したいとは思っていない。
「俺個人としては大したアドバイスにならないけど、なりたい職業に就く人の方が少ない。ただ、学習したことが仕事柄役に立つこともあるだろうし。それに、大学だけじゃなく、専門学校に進学したり、高校卒業後就職するのもアリ」
大学進学以外翼の頭にはなかった。
「結局、翼自身が決めることだからな。自分に気持ちに向き合って考えてみたら」
「…兄ちゃん、ありがとう。参考になったよ」
「どういたしまして。そういや、翼、諸星英輝って知ってる?」
「知ってるけど」
諸星とは、内藤壱真に関わった件でお世話になった。その件については、天王寺杜都、内藤、横田沢さくら、諸星と話し合って、周囲に公言しないことにした。本当のことを言えば、空也に伝えたかったが、さくらから「絶対言わないように!」と釘を刺された。
「別の大学に進学した友人が言ってたんだけど、さくらちゃんの彼氏らしいんだ」
「!?」
声にならない悲鳴を上げた。あの二人が付き合っているだと…。翼は二人が並んでいる様子を浮かべた。まあまあお似合いだ。でもなぁ…。
「諸星ってどういう人?」
「どういう人と言われても…頼りがいはあるけど、得体の知れない何かがあるというか…」
「何かって?」
「俺、直接確かめてみる」