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28話 度し難い神様


 そこには静寂があった。


 狭い部屋の中で男4人・女1人・神様1柱・精霊1匹が、神様+精霊クーリングオフ作戦が正しく機能するのか未来を読む。


 「お呼びしてしまったのは我々の責任であります。こちらの事は我々で処理しますので神ウインリー様とコッキ様はお戻りいただくことは可能でしょうか」


 我らが班長ポンドゴーが決断を下す。内心この作戦を採用してくれたのが嬉しくてガッツポーズをした。


 「何かご協力できることがありましたら何なりと申し付けください」


 一言も喋らず背筋を伸ばし神たる風格を漂わす神ウインリー(ピンクのパジャマ姿)に向かって、喋り出しやすいように協力を買って出る。


 「わたしは……わた、ご、ごめんなさあああい!もうキャラ作るの限界ですぅ。先輩に神らしい振る舞い方をしなさいって注意されてるんですけど無理なものは無理なんですぅ。ごめんなさあああい」

 「ウインリーしゃまあ!大丈夫でしゅよ!ちゃんと出来てましゅよ!おいお前達何やってるでしゅか!慰めるでしゅ!」


 エンエン泣き出す神ウインリーに慌てて近寄り「そのままのあなたで大丈夫!」「上手だったよ」「ちゃんと察してました!」「社交界では当たり前です」「誰でも苦手なものはありますよ」など一様になだめだす。


 「ぅぅ、ありがとうございます。普通でやります。まず帰ることが出来るのかですよね、今すぐにはむりぃです。神力が足りないので代わりに大量の魔素が必要となります。使えない神とか思わないでね?あのね本当はね?神様お出かけセットで地に降りてくるものなのよ?これ見てこれ、寝具よね?神具じゃないからね?あなた達だって何も持たずに戦いにいったら何も出来ないでしょ?神だって万能じゃないのよ?それぞれ役割があるの。わたしは最近やっと緩い職場の異世界ゲート管理に配属になったばかりなの。たまにトラックに轢かれた人が来るから勇者として転移させたり戦場で死んだ人を犬にして転生させたりそんな簡単な仕事なの。神力とか特訓してないし、魔法とか他の神が担当なの。わたしは担当外!つまりわたし悪くないよね?」


 打って変わってである。さっきまでの凛とした雰囲気はとっぱわれ不満爆発といった怒涛の口撃に黙って聞くしかなかった。


 「そもそもコッキちゃんが召喚されるのはおかしいのよ。いい?召喚には同意が必要なのよ。コッキちゃんは召喚同意カードにサインしてないの。あんな今か今かと体を鍛えながら待機している汗臭い精霊たちのところにわたしの大事なコッキちゃんを一緒にさせたくないの。あーもう!バグよバグ。管理局はすぐ適当な仕事をする。なんかむかついてきたわ。この世界滅ぼそうかしら」

 「落ち着いてくだしゃいウインリーしゃま!いつもの悪い癖がでてましゅ!なんでそう出来もしないのに強気になるんでしゅか!」


 物騒な言葉が出たけど出来ないのかよっ。一瞬その力があれば時間稼ぎに使えるんじゃないかと計算したじゃないか。


 「お怒りごもっともでございます。神の世界の事は我々には想像するのもおこがましい行為。さぞ日頃の職務を全うされていると感涙する次第でございます。どうか親愛なる神ウインリー様、我らに一粒の御慈悲をいただければと……」


 ヒートアップした神に対してポンドゴーがあえて丁寧に接することにより神の威厳を呼び覚まそうと試みる。

 どうやら行き過ぎたことを理解したようでコッキを抱き寄せ落ち着きを見せる。


 「そうね、わたしが今出来ることと言えば、仕事上覚えた神力があるわ。たまに手に負えない勇者とか出てくるから拘束するための『封印』と探すための『サーチ』ね。他は……ネ?」


 最後ごまかしたなこれ。話を聞いてる限りだとこの神はぐーたらだぞ。異世界ゲート担当って所はどうしようもない神が配属される窓際的場所なんじゃ……いや、まさかね。



 ……なんかあれだな、呼び出して本当に申し訳ないという気持ちはあるんだが、助けないほうがこれからの異世界転生する勇者のためになるんじゃないかな。


 いやいや、下手な考えは辞めよう。何考えてんだ俺、相手は神だぞ。俺より偉いんだ。偉いから偉くて偉いんだ。助けるべき存在。OK、インプット完了。


 「あの神様、『サーチ』で他の神様に探してもらってるって可能性はありますか?たぶん神の世界でもいなくなったって大騒ぎしてますよね」

 「神同士で『サーチ』できたらプライベートの侵害でしょ!エッチ!エッチ!わたしの胸ばかり見ないでよ、目線でばれてるんだからね」


 何だこいつ。ちょっとすげーイラッときちゃったぞ。俺は人の顔があまり見れないだけだ。むぅ、やっぱりこいつ助けなくていいんじゃないか。他の国に売り払っちゃえば万事解決じゃん。


 いやいや、俺は優しい人間になるんだ。落ち着けこんなときは素数をって言うけど素数は知らないからチョチョコーネさんを見ておこう。あー、癒やされる。あの丁度いい胸がいいよね。


 俺は少し黙ることにした。切羽詰まっているこの状況で神経を逆なでしてしまい、無駄話という時間的ロスを避けるためだ。というのは建前で普通に傷ついたからだ。こんな皆がいる所で言わなくてもいいじゃないか……



 「神ウインリー様、神界へとお戻りする方法に大量の魔素が必要とのことでしたが、『サーチ』で大量の魔素を探すことは可能でしょうか?」

 「なるほど、たしかに出来ると思います。ちょっとやってみますが神ルールとしてお見せすることは出来ないので、後ろを向いて目を閉じてくれますかぁ」


 へー、神ルール。そんなものがあるのか。見ると死ぬとか不幸が訪れるとかか。力を使ってる時の顔がブサイクになるからだったりして。


 「畏まりました。神ウインリー様のご支持のままに。よければ後顧(こうこ)(うれ)いとして神ルールをご教授いただければありがたく存じます」


 神ルールが気になったポンドゴーがその内容を質問する。役に立つ情報かもしれない。聞ける時に聞く姿勢を見習わなくては。


 「……」

 「失礼しました。情報を知っておくことによって心配事をなくしたいため教えていただけますでしょうか」

 「!……ええ、わかってますよ。もちろんです。信仰の一極化を防ぐためですね」

 「つまり地上で神が力を使うとその神に信仰が集まりすぎて他の神に影響が出てしまうのを防ぐルールということですか。信仰はそのまま神の力と」

 「そうですそうです。地に降りるだけでもバランスが崩れるので代行として勇者が地に降りるのです。あ!勇者が活躍するとボーナスが出るんですよ!活躍の基準がわからないんですけどね。なのであの手この手で設定をいじって飛ばしてます。この前の……」


 フンスーと自慢げに話を続ける神。しかし聞いてるこっちからしたら憧れの対象である勇者が哀れに感じ、もし出会うことがあったらお前も大変だなって労ってやりたくなった。



 1()盛り上がっている所を中断させ『サーチ』のお願いをする。


 目を閉じていてもカッと光が走ったのを感じる。どうやら無事使えたようだ。ちょっとだけ、ほんのちょーーーとだけこの神は使えないんじゃないかと疑っていた。


 「これは……そんな。変だけど、でも都合がいい」


 目星がついたのか『サーチ』を終わらせどこにあるのか話し出す。




 これから話される内容が、俺の全てを使ってやり遂げる使命となったきっかけである。




読んでいただきありがとうございます。


今回の話と次回の話は0章をお読みいただくと関連付けることができます。


なるほどなー


では次話で。

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