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25話 明かされる秘密と初めての魔法


 俺は今続々と出る自分の体の真実に驚きを隠せない。もはや人ではなかった。

 数々の真実を組み合わすとこうなった。


 おいでよ!SC(ソロキャンパー)毒になるのが嫌なので突然変異で生まれて魔素を全属性耐性に極振りしてる天と魔と森を統べる記憶喪失的な始まりの魔法カンフー少女シナモン学園長鑑定師亀ちゃん


 ぜっっっっっっっっっっっっったい遊ばれているッ


 ヴァンパイアどこいったし!


 他に何かないかって笑いながら打診すんなし!


 チョチョコーネさん耐えきれなくて顔が崩壊してますし!


 「という訳だ。君の正体がばれたら大変なことになって ブフゥッんんんゴホッ しまう。くれぐれも注意するように」

 「待ってください!笑ってるし絶対違いますよね!!俺自分のことそんな風に思うことできませんよ!全体的にアレですけど特に後半は意味がわかりませんっ」

 「辛い現実だが受け入れなくてはならない…気の毒に……あ、毒効かなかったな」


 ブフーッと笑い出すチョチョコーネをこの会議室で見てて彼女の笑いポイントが大体理解できたのは収穫だけれどもっ


 「さて、真面目な話に戻すが君はドラキュラ種に似た性質を持っていると考えられる。ドラキュラ種は長命と知られているが、魔素を見る限り極力外に出さないように調整されているのを見ると、体内生産活動を抑えることによって肉体の消耗を最小限にしているのではないかと思う。陽に当たると細胞がより活性化するため夜に行動し、不足してきた魔素を他者から取り入れることによって生産しなくてすむから長生きできるという推測だな」


 「つまり俺は長生きする可能性があるかもしれないけど、日に当たってるからそうとも言えない?」


 ヴァンパイア種は魔素が出ていくのを極力抑えている。俺はまったく出てないとなると不老ということなのか。不老不死で疑問なんだけど老いないってことは成長しないってことと同意義なんだろうか。体の中で何かを失うことによって成長するわけで。脳が成長しないってことは考えることが出来ない?俺は筋肉も成長してるし考えることも出来るから不老ではないでいいのか。まあ誰もが求めるものだし今回も伝説の勇者が解明してそうな案件だよな。


 「こういった老化を遅くする、若さを保つ、長生きする、若返るといった研究は“あるがままのほうが人生楽しい”ということで途中で打ち切られているんだ。だから君の状況は解明されていないからなんとも言えないってところだな。強いて言えば長生きしそうといったところだ。よし!じゃあ早速本当に吸収出来るのかやってみようじゃないか。チョチョコーネ、魔素実の葉を4枚ほど持ってきてくれるか。ボクスは―――」

 「そうじゃないかと思って葉っぱも魔素ポーションも持ってきてありますよ」

 「ははははは!流石だボクス!チョチョコーネもありがとう!ビンベンは引き続き書紀を頼むよ。何か気づいたことがあったら言ってくれ」


 「…?」


 こうしてトントン拍子で進んでいく話についていけない俺を置いてけぼりに物事は進んでいくのであった。


 「よしじゃあ魔素実の葉からいこうか。噛んでみてくれるか?」

 「あーこれが魔素実の葉だったんですね。分かりました。んー…やっぱり最初は甘くて美味しいんですが後半の苦味がすごいですね」


 栄養があるそうだから飲み込んでるけど最初だけ味わうだけでも満足だ。


 「…なるほど。口に入れて噛んでいる時に最初に魔素を吸収しているのが見えた。ちなみにだが一般的には苦味しか感じないのが魔素実の葉の特徴だ」

 「そう、面白い反応する」


 チョチョコーネの発言に皆が確かに面白い反応だと同意する。話の流れからして魔素を吸収している時は美味しく感じて無くなったら一般的に感じる苦味が襲ってくるということか。ガムみたいに吐き出しても…いやダメだ!ちゃんと食べるんだ!


 「次は魔素ポーションだ。これを飲めば魔素を吸収できるのは分かっていることだから口をつけて飲まずに噛むだけで吸収できるかやってみようか」

 「噛むだけですね、よし」


 青い液体が入った瓶に口をつけ傾ける。流れてくる液体を少し口内に流しながら噛むと魔素実の葉同様甘い味が広がり耐えきれず一気に飲み干してしまう。


 「ゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッ…プハー!美味かったああ!」

 「いや、飲み干しては困るんだが…」


 ブフーッと吹き出すチョチョコーネにつられて「美味しかったのでつい、すみません…へへへ」と謝る。


 「まあ今ので分かったのはやはり美味しく感じるということ。魔素ポーションは魔素実の葉が原料だから当然の結果だな。そして最初に噛んだ時には魔素が流れていったように見えたから飲まなくても魔素を吸収できるだろう。魔素値も漏れることなく溜まっている。ここまでは想定通りだが次をやるべきか悩む…ボクス、君の意見を求む」


 「そうですね…」


 うーん…と腕を組んで悩む。即決即断という印象だっただけに次にやる事が重いことなんだと察する。


 「次、つまり人や動物から安全に魔素を吸収することが出来るのかですね。本当にヴァンパイアの特性を持っているなら眷属化する恐れがある。ゴブリンの場合は殺すことが前提だったため眷属化する前に仕留めてしまったとも考えられる。そもそも噛んだら眷属化するのか選んで眷属化させているのかも分かっていない。動物を連れてこようとしたんですが…」

 「いい、私がやるって断った。大丈夫」

 「チョチョコーネ、危険なことなんだぞ。根拠はあるのか」

 「女の勘」


 チョチョコーネの発言に男3人は息を吐く。

 なんか俺のことですみません。


 「あの、俺動物で試してきますよ。そのほうが安全です」

 「「!」」


 その瞬間森がざわついたイメージが頭に浮かんだ直後チョチョコーネが席を立ち近づいてきた。


 「大丈夫。さ、噛んで」


 なんだか分からなかったけどそんなことはどうでも良くなるこの状況に、生ツバを音を立てて飲みこむ。

 ヴァンパイアが噛むといえば首に…だよな。抱きついてあの綺麗な柔肌に…ッこんな皆が見ている前でいいんですか!!あっやばい…!今はちょっと立ちたくないゾ!がんぎまりゾ!静まれーッ南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏!


 興奮状態を落ち着かせようと必死になっているがチョチョコーネは早くしろと言わんばかりに大胆にも肌を出してきた。それはそれは綺麗な指を。

あーはいはい、そうですね。どこでもいいですよね。いえ別に指でも充分ですよ。むしろ指でいいだろって。指サイコー!


 「えっと、じゃあいきますね。甘噛でいきます」


 内心ドッキドキになりながらカプッと痛みがないように軽く噛むと…美味しい!!なにこれしゅごいのおお!

 自分がヒルになったようにちゅばちゅばと指に吸い付いて喉を動かす。


 「~~~~~~んんんんんんっあはぁっうううっんああ!」


 最初は苦しみに耐えているように見えた表情もすぐに崩れ、トロンとした表情になり甘美の声をあげ指を離した。


 「はぁはぁはぁはぁはぁ…」


 時折ビクつきながら呼吸を整える姿は甘い桃の中にいるようにふわふわでぽわぽわで頭に血が登って何を考えればいいのか…もう一度吸いたい!


 「「大丈夫か!?」」


 その一言で我に返り遅れながら心配の声をかける。


 「だ…だいびょうぶ…大丈夫だから…ちょっと驚いただけ」

 「そうか。大丈夫なら、いいんだ。ゴホン、魔眼で見ていたが吸収できているようだ。眷属化もなさそうだな。しかしこれは…なんだ、すごいな」


 チョチョコーネの姿を見ていた者たちは彼女が体験したであろう快感を想像し、またその興奮した姿に言葉を濁していた。

 カタンと筆を置いた音がなり、今まで議事録を書いていたビンベンが立ち上がって「議事録に詳細を書きたいから私の魔素も吸ってみてくれ」と真剣な顔で言われた。

 それを聞いたポンドゴーとボクスも「よく分からなかったからやはり自分で体験するしかないな」と指を出してきた。

 俺は「どうなっても知りませんよ…?」と意味深に伝え……

 …


 「う…くッこれはある意味危険だな。ふー…さてここにいる全員の魔素をそれなりに吸収した訳だが、漏れることなく全て君の中に溜まっている。貯蔵量が大きいのかもしかしたら限界はないのか。生き物は貯蔵量を越えると漏れ出すと考えていたが、そもそも魔素を使っても漏れていたから常に出るモノだなと今更ながら納得する答えが落ちてきた」


 うーん、と考えここで起きたことのまとめにはいる。


 「ヴァンパイアでさえ常に少量を出している…蓋を締めたようにまったく出さないが成長していく体。他者から魔素を摂取できる力。やはり生産される魔素を自動的に毒耐性にしている体で今まで他者から魔素を得ていたが、はぐれたなどをして魔素を吸収できなくなり倒れたってところか」

 「ヴァンパイア種特有の長い犬歯もないですし人種の適正体といったところでしょうかね」

 「異議なし」

 「私も」

 「では新情報が出るまでは人種の適正体という考えでいこう」


 色々あったけど俺は【おいでよ!SC(ソロキャンパー)毒になるのが嫌なので突然変異で生まれて魔素を全属性耐性に極振りしてる天と魔と森を統べる記憶喪失的な始まりの魔法カンフー少女シナモン学園長鑑定師亀ちゃん】にならなくてすんだようだ。助かった!本当に!


 「そういえば魔法を使いたかったんだよな?そこまで魔素値があれば覚えるとすぐに使えるぞ。そうだな…チョチョコーネがいいなら庭のフィールドを使わせてもらったらどうだ。森なら簡単なスキルがあっただろ」

 「別に構わない。祈ってくれる人が増えれば力も強まる」

 「ええ!?こんなに早く魔法を使えるようになれるんですか!うっそまじで!?」


 魔素のトレーニングを頑張っていけば魔法を使えるようになるというのは、一般では魔素の保有量を上げるってことらしい。俺は吸収することによって漏れることなく保有することが出来ることが分かった。しかも限界が分からないらしい。今日と修行中のことで魔素をいっぱい吸収したから魔法を覚えれば簡単なモノなら使えるということか。


 「チョチョコーネさんすげーうれしいです!ありがとうございます!皆さんありがとうございます!」

 「早速庭に行こう。着いて来て」


 俺とチョチョコーネだけ庭に向かい残りの3人はそのまま会議室で話をまとめるそうだ。


 心躍るとはこのことか。廊下をスキップする勢いで足早に庭に着き説明を受ける。

 まず森の神が喜ぶことをするのが大前提らしい。掃除と水やりに虫の共存や木の種類を増やすなどだ。行き過ぎた掃除はしてはいけない。バランスが特に重要と力説していた。この国は森信仰者が少ないためお試しでもうれしいと興奮していた。かわいい。


 日頃調整されているためやったことといえば花・木・草・虫に言葉をかけ優しく触れるぐらいだ。それでもこの(フィールド)は迎え入れてくれたのか今まで見ていた景色がまったくの別物に感じた。前に一瞬だけ見た大きな自然が頭に焼き付く。


 「ああ…自然はいいですね。川が流れる音、風の音、運ぶ匂い、森の声、大地の暖かさ。生物が共存する世界の縮図。森信仰の良さが分かります」

 「!?そ、そんなに感じとれたの?」


 この(フィールド)で感じたことを伝えたらいつになく慌てた様子で聞き返された。


 「何か変ですか?」

 「普通何年もかけてやっと分かる感覚。森の才能あるよ!」

 「俺に才能…ッ」


 自分には何もないと思っていたのに今日だけでどれだけ明かされるのだろう。記憶を失う前は知っていたことなのだろうか。


 「うん、さあ祈りを捧げよう。心を落ち着かせてさっき感じた自然のイメージを思い浮かべ、そこに神がいると確信しながら感謝を述べる。祈りが届くと頭の中に魔法名かスキル名が浮かんでくる。落ち着いてがんばって!」

 「あ、浮かびました」

 「え!?はやい!!何?何?ほら使ってみて」


 ものすごく興奮して急かしてくるのがとてもかわいい。焦らしてもいいかなと思ったけど魔法を使いたくてそっちを優先した。


 「えーと、そのまま口にすればいいのかな。いきます!『森の精霊召喚』!」

 「え!?ちょっと!!!」


 魔法を詠唱した瞬間空から光の線が刺さり辺り一面が眩しい白色で埋め尽くされた。


 「うわあっ」

 「ッ」


 目を開けていられず光が収まるまで顔を覆い硬直するが、すぐに光はなくなり目を開け状況を確認する。


 「な…なんだ……?」


 光の線が刺さった場所には“ピンクのウェーブがかかった髪にピンクのキャラ物のパジャマを着て緑色の草みたいなのを抱いて丸くなって寝ている胸の豊満な女性”がいた。



 「こんな…ことって……本当に精霊様なの…?」


読んでいただきありがとうございます。

遂に新キャラ(重要人物)が登場です。

やっと出せたって感じです。


では次話で。

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