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19話 ショック!ホール!地獄の修行

 

「よし次だ! 次は楽しい楽しい筋トレだ!!! お前の筋肉を喜ばしてみろ!」

「はい師匠!」


 筋トレ=筋力トレーニングとは体の中身に筋組織と呼ばれる細い線の束がありその筋組織に負荷を与えることによって切れたり炎症を起こす。そして栄養補給や休息を摂ることによって修復される際に少し太くて強い筋組織が構成される。これを繰り返すことにより筋肉がどんどん大きく成長していき、より重いものを持てたり早く走れたり肌がきれいになったりする。

 自分を鍛えると目に見えて体つきが変わっていくことに自信を持つようになり精神的にも前向きになりやすい。

 肩のこりが気になる人は肩の筋肉が衰えてるのでぜひ筋トレをおすすめする。


 そんなことを青色ジャージの筋肉もりもりな肉のおにーさんから学んだ気がする。うっ頭が……


 「まずはダッシュだ! この線からあそこに見える木まで全力ダッシュ10本だ! 一回ごとに10秒の休憩をとれ!」

 「よっし! うおおおお! ぜはっぜはっぜはっうおおお! ぜはっぜはっぜはっ」


 初めの勢いはすぐになくなり4本目が終わったころにはヘトヘトになりながら走る。

 10本目が終わり戻ってきたときに遅いと言われ、パアンと左太ももが蹴られ体が崩れる。


 「あっ! くぅ……! 左ばかり!!!」

 「次はこのスコップを使ってここら一帯を掘り続けろ。幼虫が出たら飯にするからちゃんと取っておけよ。大好物はちゃんと食べないといかんよなぁ?」

 「えっ、ここってどこまでやればいいんですか?」

 「いいからやれ!!」


 パアンと左太ももが蹴られまたもや崩れる。


 「いでえええ! くっそ俺のばか……っ」


 生まれた小鹿のようにプルプルと足を震わせながら立ち上がりスコップで地面を掘っていく。


 ザガ、ザガ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザガ、ザガ、ザ、ザ、ザ

 小気味良い音だけが辺りを占める。

 初めだけ楽しいかもしれないと感じていた穴掘りもすぐに腰に限界がきて後ろに反らして痛みを和らげる。叱咤激励を貰いながら作業を続けるもしばらくしてスコップが持てなくなるほど腕が痙攣(けいれん)しだし限界を迎える。


 「あぁぁああぁ、腕がぁああ、足があああ、震えが止まらないぃいい」


 腕を太ももの間にはさみながら丸くなり鎮まるのを願い待つ。

 全身の疲れと筋肉にズゥンとした熱のある重みが痺れと共に上腕二頭筋(うで)大腿四頭筋(ふともも)にのしかかる。


 「よーしこっちに来い。這ってでも来い。早く来い」


 師匠のビスマルショットが穴掘りを中断してかつ疲労感に耐えるのも辞めて離れた場所に来いと召集をかける。

 立とうとするが麻酔が効いてるみたいに全く力が入らず地に膝をつけるばかり。それでも呼び続けるから横になって転がっていった。

 必死で向かった先に待っていたのは二時間前ぐらいに食べたばかりの食事だった。


 「よし食え。いっぱい食え。今回は牛乳付きだ。嬉しいだろさあ食え」

 「あの……さっき食べたばかりでお腹が空いてません」

 「それでも腹に入れていくんだ。言っただろ! 食って食って食って運動して食って食って食って寝てってな。つまり一日の内食事は六回だ!」

 「六回!?」

 「そうだ六回だ! 食事量はそれぞれ違うがな。さあ食えさっさと食え時間がないぞ」


 調査班施設では朝5時に起きてパン・卵・漬物あと葉っぱといった軽い朝食を食べ12時まで仕事、パン・穀物・卵・漬物・ベーコンあと葉っぱを昼食にして18時まで仕事。パン・近くの惣菜(そうざい)店で買ってきた肉系やスープあと葉っぱが夕食といったのが普段の生活サイクルだ。これで満足していたから少食だろう。

 それが一気に三食も増える…

 まだ胃に入るけど後半のことを思うと気が重くなる。

 今日はもうそれなりの時間だろうからあと二食ってところかな。


 疲労感がある手で幼虫を掴むが腕が上がらない。もう片方の手を手首に当て必死に口に運ぶ。こんなにも苦労してまずい物を食べる食事は初めてだ。

 牛乳で流し込みながらなんとか完食をする。飲むときにコップに入った牛乳が痙攣によって波打つのには笑えた。


 食事が終わり少し休憩を取った後は続きをやるのかと思ったが柔軟体操=ストレッチだった。


 「筋肉があるだけではダメだ。体を傷めないためにも可動域を広げなくてはならない。それに運動後ストレッチをすることにより明日の筋肉痛が(やわ)らぐぞ。さあこの開脚を見よ! そして目指せ!」


 師匠は足を大きく開いていき尻をつき上体をぺったりと地面につけた。

 すげえ! と素直に感動しやってみるが手を広げるよりも足が広がらず股関節の痛みに悶絶(もんぜつ)する。


 30分ほどストレッチをして体力が戻ってきたのでまた穴掘り、その後食事を二回して一日が終わった。


 「もう動けません、腕も足も腰もぷるっぷるで……きっつ……」


 スコップを杖代わりにして一歩一歩時間をかけて焚き火の場所まで移動する。


 「かっかっかっかっ! 筋肉が喜んでるじゃねえか! いいねえすばらしい! 筋トレはそうやって自分の限界まで追い込むのが楽しいんだ! 癖になるぞ!」

 「こんな、きっついの、ぬはぁ……はぁはぁはぁ……きついだけっす……」

 「くっくっくっくっそのうち分かるようになる」


 渡された毛布にくるまり地面に座った。


 「もう……限界……」


 安心したのか緊張状態だった精神がほぐれ疲れが一気に押し寄せ1秒もかからず眠りについた。



 「ふーむ……根性はまあまああるが体力は見た目通り貧弱。1班は何をこいつに求めているのか……まあいい、これからが楽しみなんだ。くっくっくっくっく」


 修行内容を脳内で組み立てながら、怪しい笑みを浮かべるビスマルショットだった。


読んでいただきありがとうございます。

筋肉の付き方は人それぞれです。理想の形をした腹筋だといいですね。

細かいことは抜きますが筋肉を大きくするにはリバウンドを利用するってイメージです。

ダイエットして食べて太る。これを筋トレしながらカロリー計算をするとばんばん大きくなるのですが、食材が手に入る環境じゃないと現代筋肉にはなれませんよねぇ。

楽して筋肉つけたいっ


それではまた次話もよろしくお願いいたします。

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