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うちの嫁が可愛すぎる件【ゲオルグとセリネ】☆オスカール帝国

俺の下へ幼妻がやって来て一ヶ月以上が経とうとしている。


最初彼女を見た時は本当に驚いた。

彼女が一回りも歳が離れていたからだ。


オスカールでは深刻な女性不足、子供不足の為、女性は確実に子が多く残せる者と結婚する事になっている。


本来ならばもう少し歳の近い女性が私のもとへ嫁ぎに来るはずだったのだと思うのだが・・・。


「ゲオルグ様? 聞いてる?」


「ああ。聞いてます・・・お茶会は楽しかったですか?」


「はい。皆歳上の女性ばかりで、とても落ち着いてました。私場違いだったのではと思ってしまって」


この国で若い女性はとても貴重な存在だ。

このまま女性が減り続ければこの国はいつか滅びてしまう。その事をセリネにどう伝えればいいかを俺はずっと悩んでいる。


「ここ数年男ばかり多く産まれて女性の出生率が低いのです。ですから、若い女性はそこに居るだけで皆の心を和ませるでしょう。場違いなどと仰るものではないです」


しかも、彼女は伯爵家のご令嬢だ。

他国に嫁ぐとはいえ身分が低い俺と結婚するなんて本来なら起こらないと思う。

一体この子の身に何が起きて、こんな事態に陥ったのだろうか。不憫でならない。


「そうなのですね? 確かにそんな噂私の国にも流れてます。本当のお話だったんですね? じゃあ、ゲオルグ様は私がここに来て嬉しい?」


「・・・ええ。勿論です。俺には貴女は勿体ない」


最近俺はとても困っている。

歳が離れている以外特に問題がなかった為、婚儀は問題無く行われ俺達は夫婦になった。


しかし、やはり俺からすると彼女は、幼い子供に見える。


・・・つまり、俺達は本来なされるべき夫婦の営みを行なっていない。


だが、周りにそれを伝える訳にもいかず、その事を彼女にどう説明したらいいものか迷っている。


彼女は初夜、別の部屋に向かう私を不思議そうな顔で見上げて首を傾げていた。


そしてしばし考えた後、私の後をついて来た。


「部屋、間違えました?」


それはそうだ。

彼女だってちゃんと分かって嫁いで来ていると思う。


しかし、だがしかし。

こんな若い少女に無体な事をするのはどうかと俺は思う。


「今日はもう疲れたでしょう? 気にせずゆっくりお休み下さい」


「はい! でも、私寝相は悪くないです」


正直に言えばセリネはとても可愛いと思う。

一日中眺めていられる程度には気に入っている。


そして甘やかしてしまいたい衝動を抑えるのが最近とても大変なんだ。彼女は無垢過ぎて、たまに扱いに苦労する。


「そうなのですね、それは良かった。しかし、今日はお一人でゆっくりお休み下さい」


「え? 私一人で寝るのですか? 何故でしょう?」


「・・・・・」


心底理解できないという顔で眺められ俺も少々困ってしまう。どうやら、俺の伝えたい事が上手く伝わらなかったようだ。本当に困った。


「あの・・・もしかしてゲオルグ様がお疲れなのですか?」


「いえ。まぁ、気疲れはありましたが」


「そうですか、じゃあ邪魔にならないよう静かに寝ます! 大丈夫!」


この辺りで俺は会話が噛み合っていない事にやっと気づいた。この子、初夜に何をするのか分かっていないのでは?


「そんな事はお気に為さらず。ベッドは広いですので二人でも余裕があります」


「はい! では今日はもう休みましょう」


こんな笑顔で言い放たれては断る事なんて出来ない。

それに、これ以上は彼女を拒絶する行為になるだろう。


とりあえず部屋に戻り様子を見てみよう。


結果、セリネは一緒にベッドに横になって直ぐにスヤスヤと寝息を立て始めた。


「本当に可愛いな」


セリネがこの屋敷に来てから皆とても楽しそうだ。

明るく可愛いセリネに皆、夢中になっている。


堅物の執事でさえ隠しているがセリネに逆らえない。

つい甘やかしてしまうのは、まぁ仕方ないな。


そんな訳で、俺はその日から毎日誤魔化し続けながらセリネとの夫婦生活を送っている。


「お休みなさいゲオルグ様」


「お休み」


今のところセリネはこの生活に疑問を抱いてはいないと思う。そう、思いたい。


「ゲオルグ様。そちらに近寄ってもいい?」


「はい。かまいません」


気付いて・・・いないんだよな?

もし、疑問を抱いているのならセリネなら直接聞いて来ると思う。だが、何故か俺の方が最近モヤモヤし始めているのは何故なのだろうか。


「ゲオルグ様っていい匂いがします。落ち着く」


近寄ってもいいと言った手前引き離せないが、いくら相手が子供とはいえ、こんなにピッタリくっつかれては落ち着かない。


いい香りがするのは俺じゃなくてセリネであり、触って柔らかいのもセリネの方だ。


しかも、髪を下ろしていると、とても大人っぽく見える。

俺だって健康体の成人男性なのだから、あまり煽らないで欲しいんだけどな?


「凄く、好きです」


よし、水を飲みに行こう。

これは駄目だ。駄目だな俺は・・・ちょっと混乱してきたぞ? なんで俺はこんなに我慢してるんだろう?


「ゲオルグ様? 何処に?」


「少し喉が渇きました。先に休んでいて下さい」


「はい。行ってらっしゃい」


パタンッ


「今日も駄目ね。何がいけないのかなぁ? お色気が足りない?」






ちょっと喉を潤して外の風にでも当たろう。

あのままでいたらとても危険な気がする。


と、いうより主に俺の理性が保てない。


「せめて、あと一年は我慢しなければ・・・」


我慢と言ってしまっている時点で色々駄目な気がするが俺は深くは考えない。


一言、言っていいか?


エドロン国よ。

あなた方は気前が良すぎではないのか?


よく、あんな可愛くて若い女性を隣の国なんかに嫁がせたな。俺なら絶対にそんな事しない。


自分の娘であれば尚更側に置いて変な虫は成敗する!

一匹残らず叩っ斬る!


「運が良いのか悪いのか・・・複雑だ・・・」


セリネが17歳になるまで、まだ半年以上も残っている。

それまで、俺は果たして我慢が続くのだろうか?


「天国と地獄とはコレまさに・・・」


俺は、コレをある種の鍛錬だと思う事にしたぞ。

精神力を鍛える訓練だと思えばきっと乗り切れる。


乗り、切りたいんだが。

嫁が可愛すぎて俺は最近頭が痛い毎日を送っている。

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