メリルの災難☆カスバール帝国
【最強薬師は絶対誰にも恋しない】
のお話が始まる少し前の物語。
彼女は人が暮らすには少しばかり難ある場所に住んでいた。
その山はカスバールの北東に位置し、それなりに標高が高い。しかし、人が隠れて住まうには絶好の場所であった。
彼女メリルはカスバールのある集落に生まれた。
彼女の母の故郷はすでに焼かれ、彼女の集落の人々は度々住む場所を移動しながら暮らしていた。
彼女の家族は薬師の父と母、そして二つほど年が離れた姉の四人である。
しかし、その時彼女の側には誰も居なかった。
「お婆ちゃんお疲れ様。天国は住みやすい場所だといいね」
彼女の両親は行方が知れない姉を探しに旅に出ている。
メリルは、自分の村の最期の住人の永遠の眠りを見届け、その日一人になった。
しかし、だからと言って彼女の日常は今までと変わらない。
「さ、薬草を摘みに行こ」
メリルは母親の才能を強く引き継いだ腕の良い薬師だった。メリルの魔力は普通の人間では到底持ち得ない量と質を誇っており、彼女自身もそれを理解していた。
だからこそ、彼女達は人知れず隠れ住み、その力が決して誰かに利用される事が無いように生きてきた。
母親は、それが理由で昔仕えていた宮廷から逃げ出している。メリルの家族は代々、魔力が強い一族なのだ。
[こっちの薬草は良さそうだ! 良い薬が作れそう]
[ここの土は穢れが少ない。薬草がよく育つ]
それに、彼女は隠していたが、メリルには普通の人間では目に映すことが出来ない者達を視る事が出来た。
メリルは彼等を"妖精"と呼んでいる。
妖精達はいつもメリルの側にいた。
彼等と積極的に交流はしないが、彼等の会話や行動から何度も危機を回避して来たメリルは、とても運が良かったのだろう。
そう、この日までは。
それは、その日の夜。
メリルが家の地下で薬を調合している時に起こった。
[大変! 攻撃が飛んでくる!! メリル机の下に隠れて!]
「え!?」
メリルは驚いて顔を上げ、しかし彼女の身体に染み付いた危機管理能力は正しく機能した。
メリルは椅子から立ち上がると、そのまま近くの机の下に飛び込んだ。
それと同時に、けたたましい轟音が二度立て続けに起こりメリルの家は激しく揺れ上から床や屋根が崩れ落ちて来た。
(襲撃を受けた! でも何で? 目的は私じゃ無いはず。もしかして、戦争でも始まったの?)
彼女の予想は強ち間違ってはいなかった。
実はこの攻撃には、メリルに深く関係がある人物達が関わっていたのだが、この時のメリルにそれを知る術などある訳はない。
メリルは暫くそのまま様子を見て、攻撃の音が止んだことを確認してから家の中から脱出した。
そして、呆然と見事に丸い穴が空いた山並み達を見上げた。
「あちゃ〜・・・こりゃまずい。早くここから逃げないと」
こんな目立った穴を開けられてしまえば誰かが様子を見にここに来てしまう可能性がある。
メリルは急いで家の中に入ると必要最低限の荷物を袋に詰めて再び外に出た。
だが、ここで予測していなかった事態に見舞われた。
既に、宮廷の兵が寄越されていたのだ。
「お前、ここの村の者か?」
メリルは誤魔化すのは厳しいと判断し素直に頷いた。
すると兵士は困った顔でしゃがむとメリルを覗き込んだ。
「怪我はないか? ここに、お前以外の村の者は?」
「いない。昨日お婆ちゃんが死んじゃって私一人だけ」
とにかく早く解放されたかったメリルは、詳しい事は口にしなかった、しかし、この発言で事態は益々ややこしい方向へ進展した。
「そうか、しかしここは危険だ。悪いが一緒に来てくれないだろうか? ここで起きた事を聞かせて貰いたい。君しかいなかった様だし、君もこんな所で一人になってしまってはとても危険だ。陛下にお願いして別の場所に住める様頼んでやろう」
メリルが普通の16歳の女の子であれば、これはとてもありがたい申し出であった。
しかし、メリルは普通の少女ではない。
しかも、彼女の母親は、その宮廷から逃げ出した身である。とても、ややこしい。
「え? い、いや。でも」
「大丈夫だ。少し話を聞くだけだし、宮廷にいる間は食べる事にも困らない。今は宮廷内も安全だから、安心しろ」
違う! とメリルは叫びたかったが堪えた。
そして彼女は目立つ事は避け、黙って着いて行く事にした。
どうせ直ぐに解放されるのだから構わないと判断したのだ。これが、彼女の最初の間違いだった。
メリルは宮廷に着くと二、三日はショックだろうからと気を使われゆっくり休む様にと言われた。
初めて訪れた宮廷内はとても綺麗だったが、思ったより質素で閑散としていた。
「・・・・早く、用事を済ませてくれないかなぁ。面倒くさい」
宮廷に来て一日で彼女はここに飽きた。
やる事がないのだ。
しかも、何故か説明を求めた兵士もメリルの下に訪れない。侍女らしき女性に話を聞くと、今サウジスカルと揉めており、宮廷内はとても忙しいのだと言われた。
メリルは、三日目でここを出る事に決めた。
(生き残りの平民の娘の事なんて誰も気にしないでしょ、馬鹿らしい。サッサと村に戻って薬草畑の様子を確認しないと。あれが他の人間に見つかったら、ややこしい事態になりかねない)
メリルは少し焦っていた。
彼女の家族は住んでいた山にいくつか薬草畑を持っていた。土壌の穢れを清め一から畑を耕し作ったものだ。
実はカスバールの土壌の大半は植物が実らない状態だった。もし、あの畑が見つかってしまったら人々があの場所を奪い合う事になるだろう。争いの種になり兼ねない。
メリルは人が少ないタイミングを見計らい部屋からこっそり脱げ出した。
しかし、彼女はこの時、間違って入口とは反対の謁見室に向かってしまった。
(あれ? おかしいな。もしかして、道間違えちゃった?)
それ程複雑な作りでは無かったが、とにかく中は広かった。
キョロキョロと辺りを見回しながらメリルは角を曲がろうとして、突然現れた人影に驚き思わず声を上げてしまった。
「きゃん!!」
「・・・・・・ん?」
避けようとしたが、足元にあった床の溝に見事に踵が引っかかりメリルはそのまま尻餅をついてしまう。
「イタタタ・・・・ハッ!!」
顔を上げると、そこにはブロンドの髪に美しいエメラルドグリーンの瞳をもつ男性が驚いた顔でメリルを見下ろしていた。メリルは焦って思わず余計な事を口にした。
「あ、あの。出口はどこでしょう?私、迷ってしまって」
メリルの言葉に青年は何故か眉を寄せて訝しげにメリルを見た。メリルは知らなかったが、実は彼女の姉はここで働いていた頃、この青年に引き抜かれ騎士になっていた。
その関係で実はメリルがメリルの姉の姉妹であると彼は知っていたのだ。その為、メリルは三日経った今もなお、ここで保護されていた。
「お前の実家はもう人が住める場所ではなくなったぞ?何処へ帰るつもりだ?」
「えぅ・・・そんなぁ・・・・」
青年の言葉にメリルはあの集落が既に調べられ全てバレたのだと勘違いした。
絶望的な気持ちでメリルは天を仰いだ。
「私の研究室・・・長年大事に育てた薬草たちがぁ」
そして、誤魔化してやはり逃げ出そうと決めた。
「びぇー・・・・・むぐぅ?!」
何も知らない無力な少女を演じ、なんでもいいから早くここから逃げ出そうと泣く演技をしようとしたメリルの口元に青年の掌が強引に当てられる。
そして、すぐ近くにあった部屋に押し込められ、ドアを閉められたメリルは思わず抵抗した。
「な、何するんですか!!い、いきなり口を塞いだりして」
「近くに陛下が居たんだ。あんな所で泣いたら大騒ぎになるだろう。もっと考えて行動しろ」
そう怒られ、自分が初めて逃げてくる方向を間違えたのだと理解したメリルは、手を離してくれた青年は無視して部屋の中をマジマジと見た。
「こ、この部屋なんです?なんか凄く変な感じが」
連れ込まれた部屋は想像していたより広かった。
部屋の奥に大きな水晶の塊が設置されている。
それに、先程からこの部屋の空気が妙に重い。
「お前も少しは魔力があるんだな?この部屋は魔力を貯めるクリスタルが置いてある。お前達が暮らしていくのに必要なものだ」
「へ、へぇ。人がここに魔力を貯めるんですか?」
「そうだ。だが、魔力があっても向き不向きがあってな。
誰でもここに魔力を注げるわけではない」
そんな画期的な装置があったのだとメリルの関心はそのクリスタルに向けられた。どんな風に動くのか是非見てみたくなる。
「へぇ?中も見えるんですねぇ?」
「おい!勝手に触るな!」
「え?」
ブォン!
メリルがそのクリスタルに触れた瞬間にクリスタルは光を放ちみるみる色を変えて行く。慌てて手を離そうにも吸い寄せられて上手くいかない。
「え?え?なんですかコレェェェ!!手が離れませぇん!」
青年は驚愕の眼差しでそれを眺めた後メリルの手に自分の手を重ね、そっとその手をクリスタルから引き離した。
そして、何故か複雑そうな顔でメリルを見た。
しばらく驚いているメリルの様子を見てから彼は口を開いた。
「落ち着いたか? 全く・・・人の話はちゃんと聞いて欲しい」
怒りはせずに困った様に言われたメリルは確かに勝手な事をした自分に非があると思い素直に謝った。
「ごめんなさい。あ、貴方ここの偉い人ですか? 私と歳は近そうですけど?」
「まぁそこそこな? まぁだが、人がいない所なら気安く話してくれて構わない」
メリルは、彼の気安い態度に好感を持った。
実はメリルは男性があまり得意ではないのだが、何故が先程から彼からは不快感を一切感じられない。
それに、実はこの部屋に来た時から妖精が彼の周りに集まりだしている。
つまり、彼はメリルに害を及ぼす存在ではないのだ。
「あ、そう? 良かったー! 私敬語とか苦手なの。で? コレはなんなの?私が触れたら クリスタルの色が変わったけど?」
「これは、この国の各地に魔力を送る事が出来る物なんだが、この中に魔力を注げる人間が中々見つからなくてな。とても困っていたんだ」
「へぇ? ん? でも私多分自分の魔力この中に吸われたよね?」
「だな? お前はアースポントとの相性が良いみたいだ」
青年は言いにくそうにしていが、明らかにメリルに協力を頼みたい様子だった。メリルは少し考えてから自分でも思ってもいなかった言葉を口にした。
「ふーん? 面白いね? もしかして貴方の仕事ってコレの管理なの?」
「そうだな。それも、仕事の一部だ」
「へぇ・・・私も暫くここから出られそうも無いし、話し相手になってくれるならその時は私も手伝ってあげよっか?」
その瞬間、青年は本当に嬉しそうに微笑んだ。
まるで、何よりも待ち望んだプレゼントを初めて貰い喜びが隠しきれず笑った子供の様だった。
メリルは、その顔に思わず見とれてしまった。
「本当か? それは、凄く、助かる」
「・・・・・・うん」
メリルはそんな自分に呆然とした。
まさか自分が初めて会った見ず知らずの男性に見とれるなんて考えられない。
だから彼女はこれは勘違いだと思う事にした。
「私メリルって言うの。貴方は?」
「リディだ。宜しくメリル」
それから暫くは宮廷の騒動が落ち着くまでリディとその部屋で時折時間を潰す事になった。
集落の山の事は気になったが、逃げ出して、ここの兵士に追いかけ回されるのも面倒だと思ったので大人しく自分が呼ばれるまで待つ事にしたのだ。
そして待つうちに、メリルは益々リディという青年に好感を持つ様になった。
彼の身なりは決して派手では無かったが使われてる素材やデザインから相当位が高い出の人間だと分かる。
しかし、彼本人は全然偉ぶらない。
メリルに合わせ、気安い態度で接してくれる。
メリルが失礼な発言をしても怒ったり、不機嫌になる事なく困った顔をしては落ち着いた口調で会話を続けてくれるのだ。
メリルは、リディと居るこの時間がとても楽しかった。
きっと今までの人生の中でこれ程長く、メリルが純粋に異性と接して楽しめた時間はないだろう。
ふと、メリルはうっかりこんな事を考えた。
(リディが困ってるんだったら、ここで薬師をやりながら仕事をたまに手伝ってあげてもいいかも。このクリスタルに触るだけだし、私の力の事が分からなければ良いんじゃないかなぁ)
「明日は、謁見室に行くのだったか」
「あ、そうなの! やっとだよ全く。どんだけ待たせるんだって話よ!」
「・・・じゃあ、もうこうやって会うのも最後になるかもな」
彼にそう言われメリルは急に気分が急降下した。
折角ここまで仲良くなったのに、もしかしたら、もう会えなくなるかもしれない。そう彼に言われ、やっとメリルは自分がそれは嫌だと思っている事に気がついた。
「・・・リディは、やっぱり何処かのご子息なんだよね。私がここから居なくなったら、もう会えないかもね」
「そうだな。だが、メリルがここに来てくれるなら、いつでも会える。きっと陛下はこの仕事をお前に手伝って欲しいと言うはずだ。もし、メリルが手伝ってくれる気があるのなら私は嬉しい」
分かってはいたが、やはりメリルがアースポントに魔力を貯められる事を、この国の皇帝に知られてしまっていたらしい。メリルはそれならば開き直ろうかと考え直した。
「そうだね。両親がこの国に戻るまでなら、まぁ・・・後は、陛下がどんな人物か次第かな? 」
「・・・ティファの事か?」
メリルはリディに自分の姉がここで騎士として入隊し、戦の最中見捨てられた事を話していた。
そして、姉の安否を確認しに来たメリル達家族に、お前の姉は裏切り者だと暴言を吐かれた経緯も。
「取り敢えず会ってみるよ。リディの仕える人だもんね。それから決める。短い間だったけど楽しかったよリディ! もしかしたら明日も会えるかも知れないけどね?」
「・・・そうだな。私は、それを望んでいる」
その言葉にメリルは思わずはにかんだ。
メリルも明日もリディと会いたいと思っていた。
明日、自分がここに残ると言ったらリディは喜んでくれるだろうか。
想像をしながらメリルは無意識に笑っていた。
彼女はこの時までリディの願いを叶えるつもりがあった。
しかしその気持ちは、次の日メリルがやっと謁見室に呼び出され、その国の皇帝陛下がいる台座を見た瞬間、消え去った。
「長い間待たせてすまなかった。色々とこちらにも事情があったのだ。私は先日、前皇帝アトレイア・ディムレムから帝位を受け継いだ」
メリルは、呆然と自分よりも高い位置から自分を見下ろす見慣れた青年の顔を見た。
「私はリディ・ディムレム。この国の皇帝陛下である。メリル、君にとても重要な仕事を手伝って欲しい。君にしか頼めない仕事だ」
(は、はははは)
メリルは、きっと許されるなら目の前の階段を駆け上がって彼の頭をど突いてやりたかった。
理解はしていたのだ。
きっとリディとメリルとでは身分の差があり過ぎて釣り合わない。彼と付き合いたいなどと厚かましい考えは彼女になかった。ただ、メリルはやっと、自分が心から信用出来そうな、好きになれそうな異性と出会う事が出来た。
例えその淡い気持ちが育たなくとも、彼との出会いでメリルの何かが変わる可能性があった。
しかし、それは彼の手によって最悪の展開で終わりを告げた。
(駄目だよリディ。それは隠しちゃ駄目。なんで、もっと早く打ち明けてくれなかったの?)
きっとリディは今までのメリルの態度から、メリルは断らないだろうと確信している事がメリルにも分かった。
確信出来るまで、メリルに真実を明かさなかったのだ。
メリルは両目を閉じると、それと同時に自らの心の目を閉じた。
(大丈夫。私は、惑わされない。二度と、騙されない)
「・・・メリル? 返事を聞かせて欲しい」
「え? 嫌だよ。なんで私がそんな事やらなきゃいけないの? 私は今すぐ家に帰る。要件が済んだならもういいよね? じゃ!」
サッサとその場を去ろうとするメリルに、皆呆然と立ち尽くし、直ぐに慌てた様子でメリルの進路を塞いだ。
メリルは思い切り兵士達をにらみつけた。
「何? 言う事を聞かないなら捕らえて牢屋に入れるって? そんな事しても意味はない。拷問されたって私はあんた達の言う事なんて聞かない」
「そ、そんな事は・・・へ、陛下!」
「メリル!」
背後から呼び止められ、メリルは後ろを振り返った。
そこには困惑した様子のリディが立っていた。
メリルはそこで、初めて彼を睨みつけた。
「この国がどうなろうと私にはどうでもいい。私の守りたいものと、貴方の守りたいものは同じじゃない。私には、関係ない」
メリルは大きな魔力を秘めた危険人物だ。
その力を簡易に国を動かせる者に奪われてはいけない。
それは、メリルが子供の頃から親に言い聞かされていた事であった。メリルも、そう思う。
それに、一度騙された相手を信じる事など出来ない。
メリルは一度同じ様に信用した相手に酷い裏切りを受けている。その彼女の深い傷がズキズキと痛みを思い出させた。
「私は帰る。そして、二度とここには来ない」
彼女は、わざと仁王立ちで腕を組むとフンッと周りを見渡した。
そんな彼女の態度に気位の高い官吏達は怒りを露わにするだろうと思いきや、その瞬間一斉にメリルの視界から彼等の姿が消えたのだ。
これには今度はメリルが狼狽える番だった。
「「「そんな事を仰らず! どうか!! 我々にご協力くださいませ!!」」」
(え?何故皆、土下座?)
「お、おい? お前達?」
「せめてもう少し! もう少しここに滞在を! 」
「お願い致します! 出来るだけ貴女のご希望に添えるように致しますので!」
突然の土下座の嵐に対処が遅れたメリルは、その後うまい具合に宥められ部屋に戻された。
謁見の後、メリルの部屋に一通の手紙が届いた。
相手の名は記されていなかったが、すぐ誰か分かった。
そこには"いつもの場所で待っている"とだけメッセージが書かれていた。
メリルはそれを破り捨てると黙って窓から外を眺めた。
「はぁ・・・危なかった」
メリルは頭を抱え暫し唸り声を上げてから気持ちを切り替えるように遥か彼方を睨みつけた。
「やっぱり男なんて信用出来ないわ。私、一生独身でいよう」
不穏なセリフを吐いた彼女は、しかし疲れたのか、そのままベッドに倒れこんだ。その後も何通もメリルに届けられた手紙は見る事なく処分された。
痺れを切らしたリディが、再びメリルを呼び出したのはアースポントが尽きる数日前だった。
ここから、メリルとリディの言い争いの日々が開幕するのだが、それはまた別の話である。