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烙印  作者: いろは
6/8

12月20日。午後6時00分から。明朝体で書かれたその書面に視線を寄越す。燦然と輝く晩秋の月がそれを照らしていた。


扨、どうしたものだろうか…。久し振りに土屋にも会いたい様な、気もするが…自分なんかが行って良いものかどうか…。


あの頃、時々感じた視線の事を考える。

不図、久保田の嘘みたいな、無邪気な笑顔が過った。

また少し、あの頃が懐かしくなって、気恥ずかしい様な心地がした。あれから皆、どうしたかなぁ?そんな事が、気になった。

あの頃、クラスメイトがこの先どうなるか、と考えた事など無かったのに。

そんなノスタルジックな感傷に浸りながら考えた。


そう言えば、卒業アルバム…あれは何処に仕舞ったっけ?

少しでも気にかかるともういけなかった。

気が付くと、箪笥だの押し入れだの引っ掻き回して探している。


結局押し入れの奥深くからそれは発見された。貰った時、パラパラと眺めた程度だったから、実際見るのは初めても一般だ。


クラスメイトは流石に覚えていたが(まあ、見覚えがあるというレベルですが)、

他のクラスとなると名前は勿論、見た覚えすら無い奴が大半だった。

暫く、見ていると、あるページで手が止まった。

個人写真のページの後に、そのクラスで生徒同士、自由に撮影された写真が散りばめられているのだ。

見開き1ページだが、かなり量がある。その中に、僕と土屋、それから久保田。

三人で写っている写真があった。

そう言えば、僕も何枚か撮ってもらった記憶はあるのだが、ディテールは忘却していた。


その写真を眺めている内に、ある奇妙な発想に突き当たった。

久保田は土屋が好きなんじゃないかって、岡田は言ってたけど、実は違うんじゃないだろうか?

現に視線は、土屋に向けられたものじゃなかったんだから。

あの頃、考えもしなかったけど、ひょっとしたら久保田は、僕が…?


いつの間にか夜は更け、月が圧倒的な力で以て世界を照らしていた。

僕はその下を、11月の頬を切る風を受けて郵便ポストに返信の葉書を入れた。

闇の静寂の中に、葉書が手を離れ、ポストの内に

吸い込まれる様に落ち込む音計が妙に響いた。

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