第2話 東京スクランブル 〜その男、緋龍につき〜
「まず最初に言っておく、俺はそいつを受け取るつもりはない」
腕を組み、備え付けの椅子にもたれかかる様に腰を下ろした少年はただ静かにそう告げる。
「たとえ、たとえだ、あんたがそれをお礼のつもりで俺に寄越したとしても、俺はそれを受け取る訳にはいかない。」
「まず商売してる人間としての意地があるからな」と付け加えた少年は、三白眼気味の目を細め更に背もたれに体重を預け、それを受け止めた椅子はギシリと小さく悲鳴を上げるが、少年はそれを気に止めず、深く息を吸う。
「だから、俺はそれを受け取らない!何があっても!たとえここ数日ぶりに水と塩以外を口にできる機会であろうとも!」
「…何となく言いたいことはわかったけど、よだれ垂らして力説されても説得力無いから」
「ぐぅっ…!?」
言い負かされた少年は改めてテーブルの上に積み上げられた包みの山を凝視する、そこから香る肉汁とそれらに時々混じるチーズの香りが少年の鼻孔を通して食欲を刺激する。「いや…でも……ぐぅ」と一人で葛藤し唸る少年を勇馬は冷めた目で見つめる。やがて決心した様に左手で作った握り拳をテーブルに叩きつけた少年は、勇馬をキッと睨みつける。口からよだれが垂れているせいで威嚇の意味をなして無いのはご愛嬌だ。
「…食った後に食事代請求したり、幸せを呼ぶ壺を売りつけたりしねぇーよなぁ!?」
「しねぇーよ!!人をなんだと思ってるんだアンタ!?」
「いただきます」
「切り替え早っ!?」
言うが早いか乱雑に破られた包装が宙を舞い、瞬く間に少年の口の中へとハンバーガーが消えていく。
それを数分もしないうちに平に整地されたハンバーガーの山脈だった場所と幸せそうにハンバーガーを咀嚼する少年を交互に見て、勇馬はドン引きと驚愕で口角が引き攣るのを抑えきれなくなる。というより周囲からの奇異の視線がこそばゆくて仕方ない。
「…あぁ、まじで助かった。ホント3週間ぶりにたんぱく質食ったわ」
「どんだけ切迫した生活してたんだよ⁉︎」
「東京来ていきなり、鳩中心の食生活になりそうだったぜ」
「順応しきってる⁉︎なんか嫌なサバイバル能力身についてる⁉︎てか鳩食うな!鳩!」
「白いのが美味いんだよ」
「味の良し悪しなんか聞いてねぇよ‼︎」
「こいつなんなの⁉︎ホントなんなの⁉︎」目の前の少年の無茶苦茶ぶりに疲労感を覚えはじめた勇馬は、周囲の視線を無視して奇声を上げながらテーブルの上に突っぷす。目の前の少年の方はあくまで自分のペースで会話をしたいのか、「まぁそれは置いといて…」とテーブルの上の紙ゴミを左手の上に集めると、クシャッと丸めてトレーの上に転がす。
「ハンバーガーありがとな。――で、あんた津上で良いんだっけ?」
そう切り出した少年は、最後の一口を飲み込むと、