なんで逃げる?
修学旅行から帰って一息を吐き、休日を思いっきり疲れを落とす事に使った………妹や弟の買い物に付き合わせられたりした。これ くらいのサービスはいいだろ。
休み明け各関係者にお土産を配って行くが、ここで一つの問題が発生した。お土産渡す最後の後輩が捕まらない。いつも通り天体部の扉を開けようと横に押したら、びくともしなかった。珍しいと思いスマホを見ても、連絡もなかった。
後日、渡そうにも教室に赴いてもいなかったりして渡せなかった。
「先輩、真那ちゃんと何かありましたか?」
心配してくれるもう一人の後輩、戸部が声を掛けてくる。
食堂の机で項垂れている俺と 反対側で楽しそうに紙パックのジュースを飲んでいる戸部。
星見に避けられているようなので、彼女の友人であり声を掛けやすい戸部を捕まえて事情を話した。対価としてジュースを奢る事になった。
「別に何もしてないだがな」
「見てる限りではそうには見えませんよ」
それはそうなんだが、修学旅行前でも後でも何もしていない。記憶を探っても心当たりがない。
「蛯原は怪しんでるけど気付いてないですね」
「あいつは星見に過保護だからな」
「………先輩とどっこいどっこいですよ」
若干過保護なのは否定しないが、それは仕方ないと思う。好きだって意識してるだから、ちょっと贔屓するのしてしまう。
「思い当たらないなら真那ちゃん自身ですかね?」
「あのマイペースな星見だろ。想像出来ないな」
「私もあの真那ちゃんに想像出来ませんね。どこでも星を見てる感覚です」
それも否定しない。
星見は星見で変だけど、戸部は何かを隠しているみたい。どちら かと言うと言いたくなさそうに見える。言いたくないなら黙っておく。
「先輩はお人好しですよね」
「いくらでも言うがいいさ。それに自分でもそう思えるからな」
そのお人好しの為、面倒見がいいと思われる。別に悪い気はしない。
でも、星見にどうやってお土産を渡そうか。ポケットに入れた小さい紙袋に触った。
次回予告
戸部「琴羽先輩、最近妙に艶々ですね」
琴羽「最近は潤いがあるからね」
戸部「その潤いは袖中先輩がやつれるのと関係ありますか?次回予告『決まらない』」
琴羽「それはノーコメントで」




