ワガママ
あの後、いつも通りに望遠鏡を片付けて星見が部室に鍵を掛けた。下駄箱で待っておこうと袖を引っ張られた。
「どうした、まだ何かあるのか?」
「小腹空いた」
…………えっーと、つまりどこかで軽く食べたいと。多く喋らない星見なので、慣れないと理解は難しかった。
どこで食べようかと悩んでいるとさらに袖が引っ張られた。
「前の所」
どこかに寄った事あったか?
記憶の海から必死に思い出そうと掘り起こして、ようやく思い出した。
こうして望遠鏡で観測する星見とこうしてるのが当たり前になっていた所で、お腹が鳴った星見をハンバーガー屋に連れて行った時があったあった。
「また行きたいのか?」
「……行きたい」
ハマったのかな?特にありふれたハンバーガーなんだけどな。でも行きたいと言うならば連れて行くのも構わないか。
食べても晩御飯は食べきれるか。
「わかったから、先に鍵を返し行け。いつも通り下駄箱で待ってるから」
頷いてからタタタッと職員室に向かって行くのを見届けてから下駄箱に向かった。鍵を返した星見と合流してから前に行ったハンバーガー屋に向かった。
注文は俺一括で任されたのでレジでどれを注文するかを悩んでいるが…………思い出したのはいいけど、何かを忘れているような気がする。
気にせずに注文品を受け取って星見が座っている席に戻った。
「定番だけど、これでもよかった?」
「グッド」
これでよかったみたいだ。
自分のを一口かじった。慣れ親しんだ味でたまに食べると美味しく思える。
星見を見ると気に入ってるのか食べるペースが早い。安心して自分のを食べるようとした時、星見が止まった。
「ピクルス入ってる」
その一言で思い出した。星見、ピクルスが苦手だったな。ピクルス抜きにしてやればよかった。
そう思ってると星見がハンバーガーからピクルスを取るなり、俺とピクルスを見比べてから差し出すようにした。
「ゆっしん、あーん」
前とは違うが……数秒俺の時が止まった。いや、星見はこうゆうヤツだったな。これで戸惑うのもアホらしいのでパクっと食べた。
満足なのか嬉しそうにハンバーガーを食べるのに戻る星見。
俺や蛯原以外の男子にやると勘違いできるされると思うが、注意しても無理だろうな。
次回予告
琴羽「明、ハンバーガー食べたい!」
明 「太るから嫌だと言ってだろ」
琴羽「結心たちを見てると食べたくなった!」
明 「お前ならそうだな。次回予告『お疲れ様』」
琴羽「お持ち帰りで家で食べよう!」




