文化祭
楽しそうに隣を通り過ぎてゆく同じ学校の生徒たち。それもその筈、今日は文化祭なんだから。楽しむのは悪くないが……が……。
「ぶぅ~、なんで明とかじゃなくて結心なのよ~」
「仕事にならないからだろ」
ブツブツと言いながらチラシを配っていく琴羽。明と一緒に楽しむなら後からでもいいだろうに……今を文句言われても知らないぞ。「幼馴染みだからよろしく~」と言いやがった委員長……恨むぞ。
「………イチャイチャばかりしないもん」
「語るに落ちてるな」
目を泳がせて……顔を背けている時点でアウトだよ。せめて明が止めれ……ば……どっちにしろ仕事ならないだろうな。
「ゆっしん?」
その呼び方をするヤツは一人しか知らない。
「真那!あれ一人なの?」
「柚希は迷子」
………丁度、lineに通知が入って確認すると戸部からだった。内容は至ってシンプルに『真那ちゃん、どこですか~?』だった。
カタカタと居場所を送ってからしまう。
「お前が迷子の間違いだろ」
「そうとも言う」
「そうとしか言えねーよ!」
はぐれたのは星見であって戸部じゃない。琴羽に戸部が来るまで待機と言おうとして横を向くと…………いない。
「星見、琴羽知らないか?」
「忍び足で去った」
「教えてくれ」
「気付いたらいなかった」
それなら仕方ない。どうせ明ところに向かって行くだろうしな。それに明やクラスメイトからお説教でも貰うだろうに。………琴羽なら明の説教はご褒美か。
心の中でため息をついたが、星見からジッーと見られて……どうしたんだ?
「何かついてるか?」
「執事服……新鮮」
普段執事服とか着ないかな。まぁそうゆう職業に就いてる人以外は。それなら琴羽の実家だな。
「似合ってる…カッコいい」
「そ……そうか」
素直に誉められてなんか照れてしまう。
「でも、ゆっしんの所はメイド喫茶じゃ?」
「琴羽がいらない事言ってクラスの女子が賛成した」
「ん……理解した。なら明も?」
「アッキーじゃないだな」
「アッキー?」
……忘れてるみたいだな、最初は明の事をアッキーと呼んでいたのにな。
次回予告
戸部「明先輩の事、アッキーって呼んでたんだ」
星見「最初だけ」
戸部「なんで?」
星見「琴羽の目が怖かった。次回予告『文化祭2』」
戸部「会った頃だったら仕方ないね」




