堕ちたな
「結心、真那早いね。あっ、お兄ちゃん、久し振り~」
「和人さん、お世話になります」
琴羽と明がやってきた。……琴羽は女の子だから荷物は若干多いと思う。まぁ、比べる女の子は今は星見しかいない。明は性格通りで荷物は綺麗にリュックに入ってるだろうな。
「坂雪先輩たち、早過ぎです」
「誘ってもらってありがとうございます」
さらに戸部と蛯原もやってくる。戸部は部活で遠征とか共したので荷物は俺と一緒でシンプルだ…それを言うと蛯原もそうなんだが。
「あとは誰が残ってるのかな?」
俺、星見、琴羽、明、戸部、蛯原、カズにぃは 来てるから………恵美ねぇだけか。
「あとは恵美ねぇだけ」
「そっか、話しだけ聞いた事ないけど…会うのは初めてだな」
なんか楽しみにしてるのはいいが、変な事は言ってない。
「ごめんね、遅れちゃた」
小さいスーツケースをコロコロと転がしながらやってきた。
「恵美さん、遅かったよ」
「ごめんね、琴羽ちゃん。お店を副店長に任せるのに時間が掛かった」
恵美ねぇは『月見』の責任者でもあるから仕方ないかも知れないが、副店長に任せ方は絶体無理矢理だろ。
「恵美ねぇ、初めてだから紹介する。琴羽の兄、相楽和人」
「こんにちは、初めまして相楽和人です」
ここでもまた爽やか笑顔で恵美ねぇに右手を差し出した。その反対、恵美ねぇはと言うと………カズにぃの顔を見て頬を赤く染めている。
それを見て思った。
((((((あっ、堕ちた))))))
まさか、恵美ねぇが惚れてしまったのか。恵美ねぇの憧れは琴羽とカズにぃの父親、相楽芳樹だからね。
惚れられて気付いてないのはカズにぃだけだった。
「えっと、どうかしたのかな?」
「い…いや、なんでも……ないです」
「顔赤いだけど、大丈夫?」
「ひゃい、大…大丈夫」
なんだろうな、見てるこっちが恥ずかしくなるだけど……その初々しく見える。
「琴羽、カズにぃは恋した事ある?」
「恵美さんこそある?」
カズにぃは分からないけど、恵美ねぇは初恋か。
次回予告
明 「予想通りに堕ちたな」
琴羽「でもカズにぃは鈍いよ」
明 「結心とどちらが鈍い」
琴羽「結心に決まってるよ。次回予告『また落ちた(物理)』」
明 「展開が激しく読めるだが」
琴羽「うん、そうだね」




