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星空ペダル  作者: シノシノ
第一章 高校二年
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お礼

今日の星見はどこか変である。休み時間には教室まで 来て廊下のからこちらを見てくる。 用事かと思って近づくとサッといなくなるので……不思議だ。

明に聞いたらため息、琴羽だと「鈍感だよ」と言われる始末だ。

答えが出ないまま放課後が来てしまった。

また屋上では星見と二人っきりなっている。明は勉強、琴羽と戸部はスイーツ店へと……この状況は作られたような気がする。


「あのさ、星見…用事あるのか?」

「…ない」


望遠鏡を覗いてると思ってたら、チラチラと視線を向けてくるのは止めてほしい。気が気ではない……と言うか何かやらかしたかな?


「よ…よし、ゆっしん!」

「お……おう」


決意溢れる声で呼ばれて気後れしてしまった。いや星見がこんな声を出すなんて思わなかったからな。

星見は自分の鞄から取り出したのはリボンが結んである小さい、袋だった。


「…この前のお礼」


なんかお礼されるような事はした覚えがないだが。


「男の人に連れて行かされそうになった時」

「あぁ」


思わず相手に殴ってしまったのですぐに思い出した。後悔はしてないだけど、暴力的済ませて星見に見られてた罪悪感がある。

でも、表情を変えない星見が怯えている顔を見て抑え切れなかった。


「もう少し早く間に合えばよかったんだけどな」

「結果的にグッジョブ」


親指をあげてどや顔してるので笑ってしまう。

お礼とされる袋を貰い開けてみるとクッキーが入っていた。形が マチマチで手作りなのがわかった。


「星見が作ったのか?」

「それなり料理は得意。昔はお母さんと作った」


なんか星見が家庭的な一面があるんだ……。


「…おかし作りはかなり得意」

「知華にも女の子な趣味を持って欲しいだけどな」

「人それぞれ」


それを言われると痛いな……何も言えなくなる。

クッキーを一個だけ口に入れて食べた。


「不意討ちは卑怯…ど…どう?」

「得意なだけあって、美味しいな」

「安心」


家族じゃない誰に食べて貰うのは初めてなんだろうな。そして思い出す黒歴史…料理が不得意だった頃の琴羽は、明の為に腕を上げようと作ったのを味見役という処理……。地獄でした。

次回予告

戸部「今頃、上手く渡してますかね?」

琴羽「大丈夫だと思うよ」

戸部「その確証はどこから?」

琴羽「女の勘ならぬ、私の勘。次回予告『嫌み』」

戸部「そこは女の勘であって欲しかった!」

琴羽「この後はやらかすと思うよ」

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