バカ?
「ユウくん、次これ運んで」
「了解」
かつて両親がアルバイトしていた甘味処『月見』で和菓子やお茶を運んでいる、実際は俺はアルバイトじゃなくてただの手伝いだ。
「本当助かるね」
厨房から顔覗かせる穏やかな女性。『月見』の元店長の一人娘で現店長の永田恵美……22歳。叔母は坂雪だったけど結婚して永田に変わったと………ここの部分は俺からしてはどうでもいいんだが。
「いつでもアルバイトで採用するんだけど」
「母さんたちが元だけど働いていた所では、ちょっと」
両親が働いていた所で働くのはちょっと遠慮したい……。
一息つくついでに辺り見回して大正時代に着ていた女子学生服、矢絣やがすりの着物に編み上げブーツの女性店員…若い子しかいないが。その中男は自分一人だけ…アウェイ。ちなみに俺は書服と呼ばれる服装している、
「なんで男が俺だけなんだよ?」
「それは私にも分からないかな」
そもそも店員の服装からして男は来ないよな…客としてなら来るんだが。おかげで力仕事は全部回ってくる。
「なんだ大正の服装なのかも分からないな」
「それはお母さんの趣味だって」
趣味なのか…なんか聞きたくなかった。
「そうだ、ユウくん。なんか雰囲気変わったね」
「変わってないと思うけど」
「ううん、変わったよ。前は迷ってる感じだったけど、今は穏やかになってる」
変わってるのか?前に母さんから女性はそうゆうのは敏感だよって言ってたな。そして隠し事も出来ないとも言ってたな。
「それは星見と出会ったおかげかな」
「そうなの。お姉さんに話してごらん」
目をキラキラさせている…避けれそうになさそうで出会った事も含めて、全部話した。
「ユウくん……バカ?」
罵倒された!?
「そこまでいってるならすぐに分かるでしょうに」
「いや、何を言ってるのか全く分からない」
「あの両親と同じくらい鈍感ね…それは遺伝かしら?」
そんな遺伝は一切ないだろ。
永田「ユウくんはいい子なんだけどなー」
作者「あの二人の子供だからね」
永田「心配なのよ。父親はヘタレで母親は鈍感だから」
作者「否定出来る要素が全くない!? 次回予告『来てみました』。永田さん恋人いますか?」
永田「いないわね…ロクな人がいないから」




