この気持ちは?
ゆっしんが去って行くのを眺めていた。
「…なんで誤魔化したの私」
自問自答しても出てこない。そもそも答えが分かってない私自身に聞いても出ないのに。
ゆっしんの言う通りに予鈴が鳴ったから教室に戻ったら、柚希がやって来た。
「おやおや真那ちゃん、随分遅かったね。まさか逢い引き?」
「本当か!?」
なんか翔までやってきた。予鈴が鳴ってたのに余裕なんだね。
それに逢い引きなんて古い言い方。あと翔もなんで焦ってるのかな?
「サイダーを買いに行っただけ」
「サイダーが本当好きだな」
「…バカにしないで翔。サイダーは炭酸で至高」
「にゃはは、真那ちゃんは変わってるからね」
それは自覚してる。みんなから散々言われてたから。……私ってそんなに変わってるのかな。
「あとゆっしんと会った」
「「そこの所詳しく」」
珍しく柚希と翔がシンクロしていた。
やましい事や隠す事はないから素直に話すと二人とも微妙な表情になり、背中を見せてコソコソと話し出した。
「おい、話しが違うものじゃねが」
「坂雪先輩がまさかね」
「話しからは本人は気付いてないみたいだが」
「真那ちゃんも気付いてないみたいだね」
あの時に誤魔化す為、咄嗟にゆっしんはお爺ちゃんみたいと言ったけど……本当はなんだろう。兄みたいな翔じゃなくて、 だからと言って家族みたいな感じじゃない。
どこか頼れて優しくて一緒にいるのは楽そんな人……でも私の心の隅に滲み出る罪悪感がある。そもそもこの気持ちいはなんだろう?
「真那ちゃん、考え込んでどうしたの?」
「ゆっしんの事」
「うん、真那ちゃんその考えはやめようか」
柚希に肩に優しく置かれる手が少し怖かったけど、でも柚希の言う通り分からないのに考えても仕方ないか。
「真那、坂雪先輩の事なんとも思ってないよな」
「一緒にいて楽で楽しい」
項垂れる翔に背中を叩く柚希……私何か言ったのかな?
「なんかごめん」
「いや、お前のせいじゃないから」
私も慰めようと足を出した瞬間に先生がやってきた。そう言えば予鈴鳴ってから時間経ってた。
「自分の席つけー。授業を始めるぞ」
また考えて込みながらノートもあまり書けず授業を受けていた。
余談
柚希「そんな事なくノートにミッチリ書かれてるからね」
次回予告
蛯原「おい、戸部話しが違うぞ」
戸部「予測が読めない真那ちゃんと鈍感な坂雪先輩だよ!」
蛯原「……なんか悪い。次回予告『バカ?』」
戸部「二人とももうちょっと読みたいだけど」




