この子
もうすぐ夕飯の時間となって星見と長い事話していたのを自覚した。体調に気を使われながらリビングに降りて行くと妹弟たちが足りなかった将棋で遊んでいた……あえてなんで将棋かは突っ込まない。
取り合えずキッチンで晩御飯のしている母さんの所に向かった。
「結心、体調は大丈夫だね…星見ちゃんも食べて行く?」
「…迷惑じゃない?」
「食事は大勢の方が楽しいから」
「甘えて」
微妙に母さんと星見が気が合ってるような気がする。出来るまで 時間があるので将棋で遊んでる妹弟の所に行く事にした。
「ゆっしんの子供?」
「いつの時の子だよ」
「ジョーク」
お前のジョークはジョーク聞こえないぞ。口数少ないから本音とか分からない。
「お兄ちゃん…彼女?」
「綺麗なお姉ちゃん」
見ていたら気が付いた最初は巡で後からは知華だ。兄弟仲はいいくらいだと自負している。
「アホ…学校の後輩だ…」
「この子…いい子」
綺麗と言われたのが嬉しかったのか知華の事を気に入ったようだ。知華の頭を撫でて…和んでるな。
「お兄ちゃん……このお姉ちゃんはマイペースなんだね」
「そうだな…常々そう思ってるよ」
「琴羽お姉ちゃんのおばさんみたい」
「それは肯定できないな」
あの人と星見は全然違う。あの人は常に楽しそうに生きている周りを巻き込んで…俺も巻き込れたからな。
遠い目をして思い出していると袖を引っ張られて現実に戻ってきた。
「ゆっしんゆっしん、この子」
「あぁ……どうしたんだ星見」
「知華ちゃんの右目…真っ白!」
知華を前に差し出してなんか慌ててる星見が珍しい。そう思っていたがそれより驚く事があった知華たちの秘密を教えたのか。
「お姉ちゃん、知華だけじゃないぞ」
そうやって巡も右目のカラーコンタクトを取って真っ白の目を見せていく。この短時間で知華と巡も気を許したな。
「ゆっしん、この子たち見えてる?」
「大丈夫大丈夫…母さん譲りなんだ」
「お義母さんと一緒?」
「なんか不安な事が気になったが、母さんも右目が真っ白でな」
普段はカラーコンタクトで隠すようにしているが、信用出来る人に明かしてる。もちろん、明や琴羽は知っている。
「とても綺麗」
「ありがとうお姉ちゃん」
知華は星見の腕の中に納まって喜んでる…正直羨ましいという気持ちがあるが妹に嫉妬する自分がバカらしかった。
次回予告
知華「お兄ちゃんの彼女じゃなかったね」
巡 「でも見てて、そうかなと思ったけど」
知華「距離は近く感じたね。次回予告『心配してたんですよ』」
巡 「時間の問題かな?」




