帰り道で
下校時刻となったあたりで、天体観察を切り上げた。星見と琴羽が覗いていただけで、俺と明は後ろから見ていただけだったが。
望遠鏡を片付けるのはやっぱり俺で、明は手伝おうともしなかった……少しは手伝えよ。
そっかからは明と琴羽は用事があるみたいで、天体部の部室の前で別れた。
校門に出てた所で可愛らしいお腹の音が横から鳴った。誰かも言わずともわかる…星見しかいない。
横を向くと顔を下げて表情は見えないけど、両手をお腹を押さえて耳が真っ赤になってるのが見えた……こいつ、恥ずかしがってるのか。不覚にも可愛いと思った。
「小腹が空いてるなら、何か食べて行くか?」
「…(コクリ)…お腹空いたけど、財布がない」
「それくらい奢るよ」
顔を上げて目をキラキラして見てくるが、高いのはナシと釘を指すとちょっとしょんぼりされた。うぅ、罪悪感が。
ハンバーガー店に寄って注文してからテーブル席に座った。その際、キョロキョロと周りを見ていた星見が気になった。
「初めて来たのか?」
「そう、初めて来た」
今時珍しいな、来た事がないなんて…まぁ、だからメニューは任されたのか。明と琴羽で寄ったりしてたから……琴羽の量が多いのが思い出される。
包み紙を外してハンバーガーにかぶりついた…相変わらずの親しみある味。
「星見も食べないのか?」
「……食べる」
星見も同じように包みを外して口に入れた。一口二口と口に運んでいく…美味しいみたいでなりより。
黙々と食べて行くのを見ていたが途中でピタッと止まり、顔が苦々しい。
「これ…美味しくない」
途中で止まったのはピクルスが入っていたからか……苦手な人もいるからな。
「退けたらいいよ」
「……勿体ない…から食べて」
スッと差し出されるハンバーガー軽くかじられたピクルス。
…んっ?………今なんて言った!? 言われた言葉を数回リピートしてからようやく起動できた。
「意味わかってるのか?」
首を傾げてわかってないようだ。
お昼の時だってそうだが、この子はそうゆう意識はないのか。それとも俺を異性として見られてないのか…後半だったらショックだな。
そのまま食べるのは不味いので手で取り口を入れた。それを見て満足そうに食べに戻った。
次来たら、星見の分はピクルス抜きだな。
次回予告
戸部「琴羽先輩、中学以来ですねー」
琴羽「お久し振り、柚希」
戸部「本編では再会もしてませんが」
琴羽「作者の責任だからねー。次回予告『仲のいい先輩後輩』」
戸部「これは再会の予感!」




