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異世界移民  作者: 大福男
12/53

12 ニラ発見!。

 「んん? 狩った獲物はみんなで分けるんじゃあ?。」


 確か、そんなことを言っていた気がするが…。


 「お、おうなのじゃ。ももも勿論なのじゃ。独り占めなんて考えてな…ないのじゃ。」


 プイスとそっぽを向いて答える、シェーラ。


 あー考えてたんだな、それにしてもわかりやすい娘だな。しかし、そう考えると、GKゴールデン・カピバラは相当美味いって事になるな。じゃあその最上位種である所のSGGKスーパー・グレート・ゴールデン・カピバラってやつはどれだけ美味いんだ? うーん。やっぱり食べてみたいな。


 「獲物は狩って来た者が最初に取る部位を決められるのじゃ。じゃから…美味しい部位で美味しい物を作ってほしいのじゃ。あのお魚は美味かったのじゃ。お主が作ってくれたら。普通に食べるよりも美味しくなるに違いないのじゃ。な? いいじゃろ?。」


 シェーラは気まずそうに説明をした後、私の袖を摘んでもう一度頼んでくる。


 いや~美味しかったと言ってもらえるのは非常にありがたいのだけどね。私は、料理人じゃなくて、食専なんだよねぇ、本来は。まあ。このGKゴールデン・カピバラには興味もあるし、正直食べてみたい。しかしこの世界独特の食べ方にも興味あるんだよんねぇ。さっきからちょくちょく魔眼で見てるのだけど、生えてるんだよね。食べられそうでかつ、元の世界で見たことあるようなハーブとか、おそらくそれを使った独特のヤツがあるんじゃないのかなぁ。


 ふと当たりに目を向けると、何やら見慣れた物が地面から生えている。


 ん? あそこに生えてるのって、ニラじゃないか…な。……にら!? うおう。ニラがあるじゃないか。ニラと醤油の相性ってばっちりなんだよな。こう。なんて言うの? ベストカップルって言うか、そう。そんな感じ。ニラに似た毒持ってる草もあるけど、私の魔眼は食えるって言ってるし…多分ニラで間違いない。…欲しいな。ん。ニラがあるってことは、アレが出来るじゃないか。いいな。考えてたら食いたくなってきた。


 私が沈黙して、色々考えているのを、もったいつけていると取ったのであろう。


 「来たばかりのお主が村に行きたいってことは、何か欲しい物があるのじゃろ。儂がそれを用意するのじゃ。だから何か作ってほしいのじゃ~。」


 私の袖をクイックイひっぱて懇願してくる。


 えらく気に入られたものだ。そんなに美味しかったのか? 素材が良かったからか美味いは美味かったが、結構普通の焼き魚と刺身だったはずなんだが。まあ別に作るのは構わないかな。たった今、食いたいものが出来たしな。それに、まあ欲しい物も用意してくれるって言うなら断ることもないな。。


 「ん? ああ。いいですよ。私も今、食いたいものが出来たので、それでいいのなら。」


 軽く返事をする。


 「本当じゃな。言質はとったのじゃ!。」


 バンザーイと喜ぶシェーラ。


 「欲しい物も用意してくれるのですよね。」


 人差し指を立てて確認する。


 「お…おう。儂が用意できる物で良いのならなの…じゃ。」


 びくっとして身構えるシェーラ。


 「あ、それなら大丈夫です。何せ、欲しい物は、衣類とか鍋とか食器などの生活用品ですから。」


 「それなら、お安い御用なのじゃ。」

  

 あからさまに、シェーラはほっとした表情を見せる。


 いやいや。私も鬼畜じゃないので、そんなにものすごい物は要求しませんって。よしよしそれじゃあ。あれが、ニラかどうかを確認せねば。


 私は、ニラと思われる草の所へと歩いて行く。


 どうれ、これがニラじゃなければ、私は今の食欲の最大の持って行き場を失ってしまう。今、私が、食べたいのは、アレなんだよアレ。うん。


 ニラと思われるものを手に取って、指ですりつぶす。


 お~この匂いだよ。間違いないな。念のために少し食ってみるか。…これだよ。これこれ、このちょっと甘いこの感じ。間違いなくニラだよ、それもかなり上等の奴。良かった、良かった。これでアレが食えるな。そうと決まれば、たっぷり摘んでいくか。


 いそいそと、ニラを摘んでいく。一抱えほど摘んだ所でシェーラから声がかかる。


 「何をやってるのじゃ? その草は、食べられないのじゃ。そんな物を摘んで、どうするのじゃ?。」


 怪訝な顔で言ってくるシェーラ。


 「え? 食えない?。」


 不思議な事を言う。魔眼でもう一度確認っと。…うん、食えるじゃないか。と言うか、私もう一口食べちゃったよ。…ああ、そうか成程。毒草の方と間違えてるんだな。名前は…何だったかな…確かユリ科のなにかだったと思うんだが…まあいいか。


 「大丈夫。食べられますよ。私、これが大好きなんです。」


 「ふ…ふうん。そ…そうなんじゃ…。」

  

 かなり深みのある表情でうなずかれる。


 「も、もう血抜きも終った頃なのじゃ。さ…さあ行くのじゃ。」


 「は、はぁ。」


 何か強引に話題を変えられたような気が…。まあいいか。


 それから30分ぐらい、そろそろ時計の針が午後6時を指す頃に、シェーラの村の入り口と思われる木の柵の前までたどりついた。


 「あ。村長。ちっす。」


 村に入ろうとした所で誰かに声をかけられる。声の方に振り向くと、見事なモヒカンで上半身裸に毛皮のベストを羽織った、細見だが引き締まった体をしたエルフの青年が立っていた。


 いかん。目を合わせたらいけない系の男だ。…ん? 村長って言った?。


 「おう。モヒードもご苦労なのじゃ。」


 右手をシュタっと上げて答える村長。


 「お。やった。GKゴールデン・カピバラじゃないっすか。今夜はごちそうっすね。」


 「ふっふっふ。皆を広場に集めるのじゃ。今から肉を分けるのじゃ。」


 「了解っす。じゃあ。ひとっ走りいってくるっす。」


 と、モヒカンは右手をシュタっと上げ、満面の笑顔で走り去っていった。


 「ヒャッハー! 皆! 今夜は肉だぜー! それもGKゴールデン・カピバラだぜー!。」


 「村長? モヒカン?。」


 と、シェーラを指差した後、走り去って行った目を合わせたらいけない系の青年を指差す。


 「村長さんなのじゃ。」


 自分を指差してふんすと鼻息荒く頷く村長さん。そして。


 「もひかん? あの髪のことなのか? あの髪の事なら、あれは狩人の証なのじゃ。」


 ふうん。あれは、狩人の証で、この娘が村長ね。…さすが異世界。


 「何か言いたそうな顔なのじゃ。儂はこれでも1200年ぐらい生きてるのじゃ。この村では一番の古株なのじゃ。じゃから村長でいいのじゃ。」


 はあ。年功序列なんですねって…んん!?? 1200歳って事か!? ああ~…そう…です…か。驚きませんよ。ええ。ファンタジーですもの。


 「さあ、儂らも広場に急ぐのじゃ!。」


 「はあ。」


 気の抜けた返事をした私と村長は、村の広場を目指して歩き始めた。


 村の広場にたどり着くと、中央の噴水の前には、まだ先ほどnモヒカンしかいない。まだ皆さん集まっていない様子。


 「あ。村長。もうみんなもうすぐ集まってくるっス。」


 入り口で会ったモヒカンが、声をかけてくる。


 「わかったのじゃ~。」

 

 そうそう。我々がどうやって、でかい豚一頭分はある GKゴールデン・カピバラをここまで持ってこられたかと言えば、当然、村長であるシェーラが、魔法で浮かせて押してきたのである。しかし。私、完全にスルーされているな。モヒカンもこちらをまったく気にしている様子もないし。


 「そんで。村長。こいつ誰っすか?。」


 今更!?。


 「ん? 儂の客人なのじゃ。今日は儂の家にお泊りなのじゃ。」


 簡潔に答える村長。

 

 「わかったっす。」


 簡潔な答えに簡潔に返すモヒカン。


 「え? ああ。泊めてくれるんですね。良かった。これから帰れとか言われたら、本当どうしようかと思いましたよ。」


 しかし、あのモヒカン本当に興味が無いのね。まあ、実際『興味有ります!』なんて言われても困るだけなのだが。


 そうこうしているうちに人…じゃないな。エルフ達が噴水の前にどんどん集まって来る。


 60人ぐらいの集落だと聞いていたから、これでほぼ全員じゃないのかな。さて、GKゴールデン・カピバラの最初の選択権は我々にある、と言う事らしいからアレを作るために、アレをいただきましょうかね。


 

噴水は水場も兼ねています。ここでみんな洗い物とかするわけですね。

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