秘密
熱い、嫌だ、死にたくない。
誰か、助けて.....
「.....そうか、わかった。出てってくれ。」
革命?たまったものじゃない。世の中が嫌になって隠居したというのに。あれから何年たったかわからないが人とはもう関わらないと決めていた。
「そもそもそんな怪しい格好していてついて来いとか、絶対わけありだろ。しかも革命って.....」
「はぁ?あなたに拒否権があるとでも?」
「ちょっと、キャロ! 申し訳ありません、確かにこれでは交渉は出来ませんね。キャロ、脱ぎましょ。」
「...っ!姫様!」
姫様と呼ばれた人が外套を脱ぐととても綺麗で真っ黒な髪がサラッ、と流れ出た。
顔立ちも良く綺麗な女性だ。美しいと誰もが言うだろう。
キャロに目配せすると渋々という様子で脱いだ。
こちらは白銀色の髪に真紅の瞳。こちらもなかなか、いや、この世のだれよりも美しいかもしれない。 が、それよりも驚くことがあった
「...っ!! ロー...ザ..!?」
キャロの顔を見て思わずそう呟いていた。
「? 私の顔が何か?」
とても不快そうにこちらを睨んだ。驚きのあまり凝視していたのだから仕方がない。
「いや...、なんでもない。...昔の知り合いに似ていたからつい、な。」
そう、今ではずっと昔のことだ。なぜなら彼女はもうこの世にいないのだから....
でもなぜだろうか。とても懐かしい感じがする。
「では、交渉といきましょうか。」
思い出を辿っていたがその一言で現実に戻されてしまった。
「ですから!あなたの力が必要なのです!!」
あれから日が沈み、客人二人を交えての夕食の後も同じ問対を繰り返していた。姫様ー源氏鶴姫というーが熱弁し、それを丁寧に断るということを繰り返していた。
それは突然だった。姫さんが胸を押さえて苦しみだした。
「おい!大丈夫か! キャロさん、姫さんは心臓かどっか悪いのか?だとしたらすぐに薬を...」
「あなたには関係の無いことです。...今日のところは引き上げます。ではまた明日。
.....私はあなたに会いたくはありませんがね。」
食事中と姫さんが交渉中にはずっとだんまりだったが最後に毒を吐いて、姫さんに肩を貸して出ていってしまった。
(部屋くらいなら貸したのに。)
「..ハァ..ハァ....キャロ、まだ..?」
「ここなら大丈夫でしょう。.....いいですよ、来てください、姫様。」
首筋を露わにし、姫様を抱き寄せる。
吐息がかかり、くすぐったい。 直後、首に鋭い痛みが走るが耐える。
(あのときと比べたらこのくら安いものだ。)
いつものように、コクン、コクン、と姫様が私の血を飲む音を聞き、いつものように姫様が恍惚の笑みを浮かべている顔を見て、私は罪悪感から目をつむった
姫様を助けるためとは言え、こんな身体にしてしまったのを後悔している。あのとき、自分にもう少しだけ力があれば。もっと自分が強ければ。もっと自分が.........
「キャロ、また自分を責めてたでしょ。フフッ、あなたのおかげでまだ生きていられるのだからそんなこと考えないでっていつも言ってるでしょ。
....後悔するなら私が私でなくなったらにしてよね。約束、ちゃんと守ってよね。」
首から顔を離しそう言って、顔を私の胸に埋めてきた。
あぁ、あなたはいつもそうだ。自分は人の精気を奪わなければ生きていられない体になってしまったというのに、いつも考えているのは他の誰か。生きる勘定に自分を入れてほしいと言っても絶対に入れないだろう。
「はい。あなたは私の恩人です。約束は守ります。それに、私は姫様の騎士ですので姫様を絶対に死なせるようなまねは絶対にさせません。」その頭を抱きしめ、今日もまた忠誠を誓う。
変な終わりかたになりましたね...
難しいです。