1919年 パリ講和会議
造船所
「戦争終っちまったな.......。」
「だなぁ.....。」
「受注減るのかなぁ......。」
「だろうなぁ.....。」
「はぁ......。」
「はぁ......。」
「溜め息ばかりついてないでこれからどうするか考えろよ......。」
「そうだよなぁ......。う~ん.......。」
「......戦争が終わったならこれからは民需の時代だろ。亜米利加は景気が良いらしいから亜米利加航路向けの客船でも建造するか?。」
「そうだな.......。どうせ建造するならでかいのを作るべきだろ。世界最大の客船を設計して売り込むか。」
「そんなの買う奴いるのか?。手ごろな大きさので十分だろ。」
「そもそも4万トン以上の船なんて建造した事ないぞ。」
「大きいのを建造したいんだよ!!。漢の浪漫ってやつだよ!!。」
「浪漫より金だよ。」
「浪漫って言うなら軍艦作りてぇなぁ~。」
「浪漫ねぇ......。どうせ軍需はお終いだ。これからは民需に絞るか。」
「その前に受注を探さんとな......。」
「はぁ.......。」
海軍省
「ようやく扶桑が竣工か....。六六艦隊もやっと実現が見えてきた。」
「さらば八八艦隊.....。また会う日まで......。」
「あ~あ八八艦隊......。」
「まだ言ってるのか......。」
「海軍省に来た時からの夢だ。諦められん......。」
「最近官僚共が嫌味を言いやがる。あいつら長門や天城の予算を狙っているんだ。建造中止にしやがったら内務省で腹を切って未来永劫呪ってやる!!。」
「俺は外務省でやってやる.....。」
「内務省のやつら外務省となにやら話あっているようだ。どうせ碌な事じゃないぞ。」
「くそ!!どいつもこいつも!!。」
「八八艦隊計画は六六艦隊に縮小......。聞いた時は殺意が湧いたよ。」
「弩級は別枠扱いなのが最後の希望だよ....。」
「弩級も立派な戦力だからな.....。」
「米国や英国を明確な仮想敵国にするのは禁じられるし.....。どこを仮想敵国にすればいいんだ......。お手上げだ......。」
「仮想敵国が無いと予算が下りんぞ.....。」
「戦争が終わったからな.....。予算は大幅削減だな.....。」
「内務省の奴らの目が生き生きしていたよ.......。」
「この前も圧力を掛けられて護衛隊の創設をする事になった。予算が足りん.....。」
「陸軍は露西亜のおかげで予算は多少は大丈夫のようだ。」
「羨ましい......。シベリアは海は関係無いしなぁ.....。」
「せめて独逸海軍が残ってくれれば......。」
「どうだろうな、仏蘭西も英吉利も残す気は無いと思うがな。」
「だよなぁ......。」
「前途多難だ......。」
ウラジオストク
「米軍がまた村を焼き払ったようです。これで今月で三回目ですな。」
「米軍もよくやりますね。どうせ維持できないというのに。」
「どうせアカ共の村なんだろ?。かまうものか....。」
「確かに.....。便衣兵の村など焼くしかありませんからね.....。」
「どうせ我々はここから動けんのだ。やる気のある米軍に任せておけばいい.....。それにしても白軍は役に立たん。農民は味方になると豪語しておきながらこれだ......。露西亜はもはやアカ共の物だな。」
「白軍も案外頼りになりませんな......。」
「所詮露助は露助ですね。」
「政府は前進するなと騒ぎ、米軍は進めと騒ぐ.....。何もする気が起きん......。」
「一個師団では何もできませんからね。せめてもう少し戦力があれば.....。」
「ふん。この寒さのシベリアを白軍のために北上するなんて無意味だ。なんの旨みも無い。そんな事米軍にやらせればいいのだ。」
「ですがあまりにも非協力すぎると武器弾薬の支払いが.....。」
「支払い?。金塊の事か?。怪しいものだ。そもそも白軍は本当に金塊を持っているのか?。我々は金塊がどこにあるかも知らないのだぞ。」
「その金塊があるならば内務省も外務省もやる気を出すと思うんですがね......。奴ら何も教えませんからね。」
「どうせ話を誇張しているのだろう。誰も信じてなどいない......。米軍を除いてはな.....。」
「米軍は信じているのですか?。」
「まさか米軍がここまで介入しているのは......。」
「わからん。知っているのは奴らだけだ。」
「.......。」
パリ
「条約締結。これで本当に戦争は終わりだな。」
「独逸がここまで毟り取られるとはね、哀れなものだ。」
「まぁこっちはホクホクだな。南洋諸島は貰えて賠償金もだ。派兵してよかったな。」
「数万の戦死者につり合う物かと言われたら何とも言えんがな。」
「一等国は日本の長年の目標だったんだ。そのためなら何でもするさ。」
「ふん.....。」
「それにしてもビスマルク諸島を貰えるとはな。濠太剌利がうるさいかったからな。まさか貰えるとは思っていなかったよ。」
「その代わり山東省は有償で返還だよ......。勿体無いな......。」
「まぁ元々決まっていたし別にいいよ。下手に話が抉れて英国や米国の機嫌が悪くなるよりはマシさ。」
「あ~あもっと土地が欲しい。」
「欲しいなぁ......。」
「まぁ条約で独立国も増えるし商売もしやすくなるのかね。」
「商売か......。英国も仏蘭西も疲労困憊だ。またむちゃな事を言われるかもな。」
「嫌だね~余裕の無い国は。」
「うちは余裕なんて最初から無かったがね.......。」
「まぁなんとか特需で一息つけただけマシだな。」
「おいあれ。亜米利加の外交官じゃないか?。」
「あ、本当だな.......。」
「国際連盟の話で揉めてるんだろ?。大丈夫なのかあいつら。」
「提案した国が議員の反対が多くて加盟しないなんて笑い話にもならんよ。」
「恥をかく前に国内の反対勢力に手回ししとけばいいのに。」
「でも亜米利加が加盟しなかったら国際連盟も中途半端になるな。」
「独逸も露西亜も亜米利加もいない。微妙だな。」
「意味があるのか?。これ......。」
「なんだかなぁ......。」
外務省
「聞いたか!!。金塊だ!!500トンの金塊を白軍が保持してるらしいぞ!!。」
「ご、500トン!!。まさか白軍の言ってた金塊のことか!?。」
「本当だったのか.....。与太話だと思ってたよ......。」
「話の出所は?。本当の話なのか?。」
「本当だ!!。亜米利加の外交官からも裏が取れてる!!。露西亜人が追い詰められて亡命の代わりに話したんだ。500トンだぞ!!。500トン!!。」
「英国や米国の分もあるから減りはするがそれでも大金だな。」
「それで金塊はどこにあるんだ?。」
「イルクーツクってとこらしい。」
「イルクーツク?どこだそこ?。」
「バイカル湖の近くだな......。行こうと思えば行けるな.....。」
「近いのか?。」
「サンクトペテルブルクよりはな。」
「でどうするんだ?亜米利加や満鉄はやる気らしいぞ。」
「よし、日本も増援を送ろう!!500トンの金塊だ!!。」
「英国も支援するらしい。ここで遅れるわけにはいかんな。」
「500トンか......。たまらんなぁ......。」
「ふふふ....。」