廻る廻る
どれだけ廻ったのだろう。生まれた時は数えていたのだけれど、途中でよくわからなくなった。というか僕の知っている数の数え方では数えきれなくなった。
初め僕は、一人で廻っているのだと思っていた。でもそのうち僕は遠くに明るいのがいるということが分かった。その明るいののおかげで、僕のほかにも廻っている奴らがいることに気付いた。穴のあいているのや、輪が付いているのや様々なのがいた。
でも僕は自分が一番いいと思った。あの明るい奴には負けるかもしれないけれど。
そうやって何回も何回も廻っているうちに僕にも家族ができた。
僕は家族の中でも長生きだ。だから家族が動かなくなるのを何度も見てきた。それこそ数えきれなくなるほど見てきた。けれども家族たちもまた新しい家族を作って廻る。何回も何回も廻り続ける。
やがて僕の中は僕の家族でいっぱいになった。そして家族たちは飽和した僕のなかでケンカを始めた。たくさんの家族がまた動かなくなった。けれども家族はケンカを止めなかった。たくさんの家族が悲しみ、それを見ていた僕も悲しかった。
家族たちはたくさんの悲しみののちに、自らのの愚かさを知ってケンカを止めた。ケンカを止めたのはいいけれど、今度は僕を攻撃することにしたみたいだ。僕は思った。
今度は僕が動かなくなる番なのだと。