幼馴染
飯田直子とは、幼稚園の頃からの幼馴染だ。
直子は小さい頃から活発で、幼稚園でも小学校でも周りの男の子を何人も泣かせてきた。
男だったら間違いなくガキ大将だっただろう。
そんな直子の後を、俺はいつも追いかけて、毎日一緒に遊んでいた。
直子は俺のことを、「徹は根性があるから好き」とよく言っていた。
俺は自分で根性があると思ったことはないが、直子に何を言われてもついて来る姿を見て、
そう思ったのかもしれない。
小学校の高学年にもなると、さすがに周りの男子や女子にからかわれたが、直子を異性
として意識していなかったので、なぜからかわれるのか、よくわからなかった。
俺たちはそのまま同じ中学校へ進んだ。二人が二年生になった頃、俺たちに変化が訪れた。
直子の身体が明らかに女性らしくなってきたのだ。俺は直子を女として意識せざるを得なくなった。
その頃から直子も急に女の子らしくなり、昔のガキ大将ぶりは何処かへ行ってしまった。
直子は美人でスポーツも万能で頭も良かったので、同級生や先輩から何度も告白されていた。
いつも断っていたが、その都度俺に報告してきた。
「何で直は誰とも付き合わないんだ?」俺が一度だけそんなことを聞いたことがあった。
「決まってるでしょ、徹と付き合うって決めてるからよ。高校生になったら健全なお付き合いを
しましょ!」
「あ、はいっ」俺は思わず声が裏返っていた。
「何ではいなのよ」直子はお腹をかかえて笑っていた。
俺たちは受験シーズンを迎えた。
直子はランクを少しだ下げ、比較的家から近い高校を第一志望にした。
俺は塾に通い、死に者狂いで勉強し、直子と同じ高校を受験した。
担任の先生には、無理しないでランクを下げるように言われていたが、俺は見事に合格した。
二人は晴れて高校生となり、約束通り、健全なお付き合いを始めた。
少し大人になったことで行動範囲も広がり、休みの日に直子とデートするのも本当に楽しかった。
高校では俺は中学と同様にバレー部に入り、直子はテニス部に入った。
お互い新しい友達もできて充実した高校生活だった。
そんな二人の日々の中にあの日はあった。




