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『悪役令嬢、最強魔導師として無双します』〜追放されたけどチートスキルで王国も恋もぜんぶ救ってみせますわ〜  作者: のびろう。
第2章『王都へ、反撃のドレスアップ!』

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華麗なる王都潜入作戦

王都ゲート前――。


「……緊張してる?」


「ええ、少しだけね。顔に出てるかしら?」


「ううん。完璧。どこからどう見ても、“元・貴族で伝説の魔導師で精霊契約者の美少女”には見えないよ」


「それ、褒めてるつもりなのかしらセリア?」


「もちろん!」


……複雑な気分よ。褒められてるのに。



今回の作戦の目的は、ただの“王都再上陸”ではない。


わたくしの名は、もう“王都出入り禁止”の記録付き。

正面突破などすれば、十中八九、捕まるか“あの頃の知人”に見つかるかで面倒なことになる。


だからこそ。


「身分を偽って、まったくの“別人”として王都に潜入する」


「で、そのために……“平民用ドレスショップ”に?」


「そうよ! 転生者たるもの、ファッション戦略から勝負が始まってるのよ!」


そう、今わたくしたちは――

王都東区、路地裏の“庶民派おしゃれ店”の中にいる。


「見てセリア、この品揃え! これが『庶民センス×個性全開』の破壊力……!」


「わぁ……意外と可愛い……」


「ふふ、可愛いだけじゃないのよ。これ、“映える”の。

 色味とシルエットがカメラ映え――じゃなかった、“視線映え”するように計算されてるわ!」


そう。

わたくしの前世は乙女ゲームとVtuberに魂を捧げた29歳OL。

キャラデザ、視線誘導、色調トレンド、ファン心理……

オタクとしての英知を、いまこそ“リアル世界”にぶつけるとき。


「じゃあ、この服なんてどうかしら?」


手に取ったのは、生成りのレースチュニックに、ターコイズのリボンがあしらわれた旅人風ワンピース。


動きやすさと可愛さを両立、襟元のデザインで顔回りが華やかに映える。


「これ……似合うよ、絶対」


「ふふ、それを着て“ただの平民の旅芸人風魔導師”として、王都を歩くのよ」


「……なんだか、わくわくしてきた!」


「よし、じゃあセリアにはこっちね。控えめなカーディガン系ヒロイン、優等生枠で!」


「え、わたしその属性なんだ……」


「大丈夫、現代でも人気の属性よ!」


「現代……?」


「こっちの話ですわ!」



ドレスを選び、髪をまとめ、身分証を偽造し、

さらには魔導式メイクで少し印象を変えて。


鏡の中にいたのは、どこにでもいるような旅人ふうのふたりの少女――

……に見えるように仕上げた、“わたくし”と“セリア”。


「リディア、すごいね……! ほんとに別人みたい……!」


「わたくしって、“素材がいい”から変化の幅も広いのよね」


「はいはい、“傾国の美少女”ですもんねー」


「自覚はあるけど、そう言われるとちょっと恥ずかしいわね……」


……ほら、顔が熱いじゃない。


「でも、これは“戦い”よ、セリア。わたくしたちは情報を集めるために潜入してるの。

 忘れないで。“オシャレ”は武器。ドレスは鎧。可愛さは情報操作」


「え、かっこいい……! リディアってば名言製造機……!」


「乙女ゲー10年修行の成果よ」


「10年!?」


「前世の話ですわ。なんでもありません!」



そして――。


王都の門を、くぐる。


衛兵たちの視線が一瞬こちらを向く。

けれど、すぐに通り過ぎる。


“わたくし”を、“リディア・アルヴェイン”として見る者は、もういない。


「……入りましたね」


「うん……ほんとに、入れたね……」


「セリア」


「なに?」


「今からが本番よ」


王都の空気は、やっぱりどこか張り詰めていた。


通りを行き交う人々の表情はどこか固く、商人たちは笑顔を浮かべつつも、目が泳いでいる。


「何かが……変わってるわ」


「うん、私もそう思う」


街角で囁かれる言葉。


「最近また、“騎士団の動き”が増えたな……」

「城下町で“禁呪の痕跡”が出たって、本当かよ……?」


――わたくしたちが知らぬ間に、この街は確実に“何か”に蝕まれていた。


「リディア。ここから、どう動く?」


「まずは情報収集よ。噂、魔導学院、そして……」


わたくしは、ひとりの名前を思い浮かべる。


「“ルーファス”の動向も、気になるわね」


元・婚約者。

王都最強の若き騎士。

あの日、何も言わずに“わたくし”を切り捨てた人。


……でも、なぜか、思い出すと胸が苦しくなる。


あの深い蒼の瞳。

訓練場で、背中を預け合った日のこと。

誰よりも近くにいたのに、心が一番遠かった――そんな記憶。


「会って、どうするの?」


「……何も。

 ただ、“今のわたくし”を、あの人に見せたいだけよ」


「……そっか」


セリアはそれ以上、何も言わなかった。

でも隣にいてくれるだけで、十分だった。


わたくしたちは、ひとつの目的に向かって歩き出す。


“この王都に、風を起こすために。”


そしてその先に――

恋かもしれないものと、再会が待っているのなら。


「……ふふ。悪くない展開ですわね」


“悪役令嬢”の王都再潜入、開幕――!

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