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番外編:北海道旅行2 2つの間違い

次の月曜日――

朝の羽田空港。


俺、伊藤花月は待ち合わせより15分も早く到着してしまっていた。本当は「5分前」に着く予定だったのだが、癖なのかつい時間に余裕を持ちすぎた。


(まあ、少し待つか)


ベンチに座り、スマホをいじりながら時間を潰していると――


見知らぬ外国人の男性が2人、近づいてきた。


(……来た)


俺は警戒した。大きなリュックにサングラス、がっしりした体型。どう見ても“強そう”な印象だった。


だが、言葉を聞いてすぐに察した。


「Excuse me. Do you know where is the domestic terminal 2?」


(……観光客か。迷ってるだけだな)


「Yes. You just need to go straight, then turn right at the big blue sign. After that, take the escalator up and you’ll see Terminal 2 on your left.」


「Ohh! Thank you so much! You speak very good English!」


「Thanks. Enjoy your trip.」


自然な英語で応じると、2人は満面の笑みで去ろうとした――そのとき。


間に、誰かの手が、スッと割り込んできた。


「……僕の“連れ”に何をしてる?」


それは――勇斗だった。


鋭く、けれど抑えた声色で、男たちを見据えていた。


観光客も、俺も、一瞬ぽかんとした。


(……え、何これ)


しかし、俺はすぐに理解した


「……あ、違う。彼らはナンパ師じゃない。ただの観光客」


俺がそう言うと、勇斗はピタリと動きを止め、頬がみるみる赤くなる。


「……そ、そっか……ごめん……」


観光客にも頭を下げた勇斗は、思いきりバツの悪そうな顔をしていた。


(まあ……ありがたいっちゃありがたいけど)


その数分後、集合時間ぴったりに全員が到着。


「花月ちゃ~ん! お待たせ!」


詩織が笑顔で駆け寄り、夏美、琉生、流麗もその後に続いた。


こうして、6人は羽田空港から北海道へ向けて旅立った。


---


飛行機内。座席はバラバラだったが、俺の隣は――


「よろしくね、花月ちゃん!」


元気よく詩織が座った。


夏美の隣には流麗、勇斗の隣には琉生。


夏美と流麗は、なにやら理数系の話で盛り上がっていた。


「量子コンピュータって、理論上は……」


「でも実用段階にはまだまだでしょ?」


(なんの話だよ)


一方、勇斗と琉生はというと……


「……」


「……」


明らかに空気が違う。勇斗が、若干怯えた顔でこわばっていた。


(まあ……初対面だしな)


そんな微妙な空気のまま、飛行機は新千歳空港に着陸した。


「ついたーっ!」


詩織が両手を広げて喜ぶが――


「さ、さむっ……!!」


「ううっ……刺さる寒さです……」


「ちょっ……北海道の冬って、こんなに寒いのね……!」


流麗が震えながら言った。


「これでも温暖化で暖かくなってきてるらしいですよ」


夏美が冷静に現実を添える。


「花月ちゃん、全然寒そうじゃないね……」


「いや、寒いよ。ただ、震えるほどじゃないかな?」


全員が言葉を失ったように、こちらを見つめた。


(……何だよその目は)


「……さすが、青森出身だね」


誰からともなくそう言われ、全員が頷いた。


(なんか“耐寒生物”みたいな扱いされてないか、俺)


そんなツッコミを胸の奥に押し込めながら――

俺たちの北海道旅行は、始まった。

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