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暗闇の中

幻「げん」

暗闇の中とは、どんな所に落ちても、光の道はある。暗闇の中　ご堪能ください。

　暗闇の中、歩き続け、走り続け、それでも人は冷たい生き物。まるで、死人を眺めるように。そんな中、見つめる先はやっぱり空だ。

　空を見ていると、何処か救われる気持ちになる。この天と地の境界線は、とどまる事を知らずに、どんなに願っても、どんな思いをしても限られた空。

　暗闇は、冷たい場所だけれど、それでも、手を差し伸べてくれる。何も見えなくても、霧に覆われても、光は、まだ必ずや先にある。光が、先に来るわけでもなく、悩み深い時でも、暗闇の中でさえ光がある。

　そんな真実を、知り得ないまま、去ってゆく事なんてない。まるでそれは、人が、罪を犯した時、そこに、光がないのだと言わんばかりに、暗闇は、冷たさの中の光。空前とした空気さえも、あ然と変わる頃、それは、空の暗闇と化すだろう。

次回　金の時計