同窓会(3)
「ゴメン。いろいろあってさ、連絡するの忘れてたよ」
『お前らしくないな』
「いや、多分、これがおれなんだよ。それにしても、よく分かったな」
『苦労したよ。前の電話番号は繋がらんから、家に行ったしな』
行けば表札が変わって、もちろん、住んでる人も変わってた。
近所の人に聞けば、A市に引っ越したと。
A市の市役所に行って、ここ数年で引っ越した「樋口芳宏」を探してもらった。
と、真木は説明してくれた。
市役所の人は最初は疑って教えてくれなかったらしい。
そりゃそーだろうな。
『お前、姓が変わったんだな』
「うん、両親が離婚してね。母方についてるんだ」
「樋口」で検索にひっかからず。本来なら部外者ではできない戸籍まで調べてもらったようだ。
そりゃ苦労だ。
でも、信用して教えてくれた市役所の人に感謝。
真木には申し訳ないことをしたけど。
「で、なに?」
『ああ。今度、クラス会があるんだ。お前も来るだろ?』
すでに決定って感じな言い方だ。
でも、不快感はない。
逆にうれしい。
「今度って、いつよ」
『あさって』
・・・・・・。
早っ!
「ちょ、ちょっと待ってよ」
おれはケータイのスケジュール帳を開いた。
仕事のシフトがそこに入ってる。
「えーと、あさってはと・・・」
土曜。
仕事、ですな。
「あ~、ゴメン。仕事だわ。あ、クラス会って何時から?」
『18時集合。18時30分会場入りだ』
「あ、大丈夫かも。それなら勤務時間移動で対応できるから」
『よっしゃ。じゃ、参加だな』
真木は集合場所を伝えて、『じゃ、待ってるからな』と電話を切った。
おれの周囲に懐かしい香りが吹き抜けた。
高校時代の香りだ。
高校・・・。
・・・・・・。
──中沢・・・・・・。




