オトナ的アクション(3)
「覚えてるよ~。あのとき、小森クンったら、すっごく赤面しながら仕事してたもん」
キミちゃんが、休みなのにわざわざおれの店に来てくれた。
もう何度も来てるから、勝手知ったるって感じで自分でコーヒーを淹れてる。
いい感じだ。
こんなおしゃべりのできる店にしたかったから。
売り上げなんて問題にしない。
「そうだね~。あのときはな~んも知らんかったからさ」
おれもちょっと休憩。
母さんは今日はお友だちと遊びに出かけてる。
知ってる人なんていなかったこの土地で、友だちができてる。
毎日楽しそうだ。
ま、だからこんな会話ができるんだけどね。
母さんがいたらできる会話じゃない。
「その人さ、今、どーしてるんだろーねェ」
「さァ」
ユウさんとの「付き合い」は長くは続かなかったから。
いい人だった。
優しいし。
会えばいつもおれを抱きしめてくれた。
おれは初めてユウさんと会った時のことを思い出した。
─────────
土曜。
おれはウソをついた。
母さんに。
友だちに会いに行くと。
・・・まるっきりウソじゃない、はず。
けど、なんだか後ろめたい。
場所はお互いの家から中間の地点。
A市の隣のK市。
まったく知らないところでもない。
高校時代、よく合宿にも来てたし、母さんと一緒に買い物にも来てた。
待ち合わせの場所もすぐに分かった。
何度か行ったことのある、大型スーパーの駐車場。
どんな人なんだろ。
事前に画像交換でもしとけばよかったかな。
けど、おれ、写真の写り方が悪いのか、自分の画像には自信がなかった。
ユウさんも、そのことには触れなかったし。
待ち合わせの駐車場はスーパーから離れてて、停めてる車はまばらだった。
だからすぐに分かった。
車種だけは聞いてたから。
おれはその隣に車を停めた。
<隣に来ました>
それだけをメールした。
<こっちにおいでよ>
おれの心臓の鼓動が早くなった。




