13章 オトナ的アクション (1)
掲示板の使い方は分かった。
実行に移すときが来た。
でも、ホントはこわい。
こんなこと、やってもいいのかな。
ちょっと罪悪感。
パソコンのキーボードを打つ手が、少し震える。
けど、踏み込まないと、おれはオトナになれないような気がする。
とゆーことで、考えた末に掲示板に載せたメッセージは・・・。
<ヒロ
メル友を募集します。
あまり会う機会もないんで、それでもいいって方、いませんか?
わがままでゴメンナサイ。
165*52*20>
控えめすぎたかな。
でも、これが今のおれの限界。
でもさ、自分で載せておいてなんだけど、「メル友」を募集しながらも、身長*体重*年齢を載せるってのはどーなのよ。
おかしいと思うけど、これ、掲示板でのルールらしい。
ま、こんな自分勝手なメッセージに返事をする人なんていないだろうけど。
おれはあまり期待しなかった。
ところが、
返事がきた。
翌日、パソコンでメールチェックをすると、掲示板経由のメールがあった。
<はじめまして。
おれでよかったら、メールからはじめませんか?
170*60*34
ユウ>
来ちゃった。
おれ、とんでもないことしちゃったかも。
ど、どーしよ。
無視っちゃおうか。
などと考えたりもした。
いやいや、アホかおれは。
無視なんて、失礼にもほどがあるぞ。
とにかく、会うことのないメル友なんだから、不安になることはない。
なんて自分で弁護。
とりあえず、返事。
<ヒロです。
遅くなってスミマセン。
お返事いただき、ありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いします>
カタイかなァ。
ま、いっか。
文章の最後に、ケータイのメアドも載せた。
パソコンは1日に1回しか起こさないから。
ケータイならいつでもメールができる。
おれはちょっとドキドキした。
新しい世界に足を踏み入れたような感じだった。