怒りのはずが・・・(7)
送信。
ますます重いんじゃなかろーか。
ま、おれの気持ちは伝えた。
それでよし。
それじゃ、新しい恋に向かって・・・。
・・・なんで思えないな、やっぱ。
おれはガイのすべてを受け入れることができなかった。
ガイがさみしい人だって知ってたのに。
おれはガイを包もうとした。
けど、結局、包まれたのはおれの方。
ガイにとって、おれは重荷だったのかもしれない。
対等な恋がしたかった。
けど、それができなかった。
甘えきってたワケじゃない。
自分を飾ってたワケでもない。
ただ、ガイにふさわしい人であろうとしただけ。
それはムリすることじゃなく、おれにとって、幸せなことだった。
別れはつい最近のことなのに、遠い昔のような気がする。
おれは誓った。
ガイが教えてくれたもの。与えてくれたものをゼッタイムダにはしないと。
仕事にしても、それ以外の生き方にしても、おれは人として立派になる。
そして、ホントに一人前の大人になったとき、おれはまたガイと会える。
なぜかそんな気がした。
これは未来のヴィジョン。
あの直感ってヤツだ。
ガイと会ったときに見た「別れ」のヴィジョンと同じだ。
この未来は現実になる。
また会える。
ゼッタイに。
おれは夢中になって仕事に励んだ。
そして楽しんだ。
生きることを。
自分に自信が持てるようになるために。
待ってなよ、ガイ。
心にこの言葉を刻みつけ、新年を迎えた。
ひとつ、また大人になる。
この一年で、おれはどんな大人になるんだろう。
レベルは落さない。
積み上げた「人」しての格を土台にして、さらにのぼる。
のぼり続ける。
ときには振り返るのもいい。
けど、止まらない。
止まってはいけないんだ。
止まることと、さがることはおれにとって同じ意味だ。
「小森クン、最近、顔、コワイよ?」
キミちゃんだ。
ちっこい彼女は、おれを上目遣いでのぞき込んでる。
「ん?そう?クレームでもあった?」
気づかなかった。
そんなにコワイ顔してたんかな。
「いや、ないけどさ。仕事一筋でワキメもふりませんって感じじゃん?」
う~ん、さすがに女の子。
スルドイぜ。
「だって頑張ってるんだもん。わしゃァビッグになるまで恋はせんのんじゃけェのォ」
おれはよく地方の言葉をマネる。
今回は広島弁。あと、関西弁もできるぞ。
「ん、気持ちは分かったが、スゴまんでくれ」