12章 おれの旅たち(1)
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18歳。
もう、8年前のことだ。
あのとき、中沢のお父さんと互角に渡り合えた。
・・・と思ってる。
けど、中沢を守りたいとゆー思いで必死だった。
今同じことをやれと言われても、できないだろうな。
いろんな事を知ってしまった大人になったから。
あのときのあの言葉は、若さとゆーパワーそのもの。
言い方を変えれば、無礼千万、傍若無人。
今はそんなマネ、できません。
「小森ィ、ここから、どーすればいいの?」
はいはい。
ケイコちゃんのアクセ作り。
おれは迷わずシルバークレイを使うことにした。
安全だし、シロウトでもできるから。
要は粘土みたく形を作ればいい。
「ンとね、とりあえず、大まかな形になればいいよ。あと、乾燥させてから削るし」
「エェ!今日できるんじゃないのォ?」
「ムリだよ。乾燥させて、形を整えて、焼いて、研磨する。これで完全なアクセになるんだから」
まったく、ちゃんと事前に説明したじゃないか。
そのために講習を今日にした。
カレシに渡す日から逆算して。
「大丈夫だよ。間に合うから」
「ん、分かった。私、頑張る!」
ケイコちゃんのその切り替えの早さには感心するな。
「それでどーなったのよ。ナカザワクンとは」
「それで終わり。二度と会うことはなかったよ」
「うそばっかり」
粘土を形成しながら、ケイコちゃんは横目でニヤリと笑った。
半分は正解。
大学生になったおれは、授業と体操の練習、そしてバイトもしてた。
近い日に訪れるであろう、一家離散に備えて。
遊ぶヒマもなかった。
同期のヤツらが合コンやイベントやらで楽しんでる間も、おれはひたすら、勉強、練習、バイトを繰り返した。
いつの間にか、中沢のことを考えることも少なくなっていった。
たまに思い出して胸がきゅ~っとなるけど、甘い思い出だと思えるようになった。
そして、20歳。
両親は離婚した。




