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どうかご自愛を・・・  作者: かのい かずき
71/106

抱擁(7)

・・・・・・・・・。





ナニガ、起コッタ?





おれの頭は真っ白。



脳細胞が考えることをやめてた。



おれの頭の右側には、中沢の頭。



後ろ向き。



当然か。



ふわりとただよう整髪料の甘い香り。



そして、きついくらいに抱きしめられたおれ。



・・・・・・。






!!!




中沢に抱きしめられてる!!



ど、どうしよ。



おれ、どうすればいいのかな。



おれの両手は下がったまま。



この手を中沢の背中にまわせばいいのか?



い、いや、それじゃゲイじゃないか。



・・・おれはゲイなんだろうけど。



落ち着け。



これはハグだ、ハグ。



ハグハグハグ。



感謝や親しみを込めたアレだ。



うん、きっとアレだ。



そうに違いない。



中沢、やめてくれ。



そうじゃないと、おれはお前を抱きしめてしまいたくなる。



早く解放しろ。



おれの腕が意思に反して上がる。



早くってばっ!



両手が中沢を包み込もうと伸びる。



わァ~!



腕を解け~!



中沢ァ~!!



あと少しで、おれは中沢の背中に触れる。



・・・もうダメだ。



おれは諦めた。



心の欲求には勝てなかった。



さよなら、中沢。



こんなおれを知ったら、軽蔑するだろうな。



絶望の淵に立たされたおれは、ふと、解放感に包まれた。






あれ?



目の前には中沢。



「ゴメン。うれしかったから。イヤだったろ?」



いいや。



ぜんぜん。



てか、シアワセ。



「い、いや。そ、そんなことない。びっくりしたけど」



顔が厚い。いや、熱い。



もはやおれの言語変換能力もイカれてる。



「樋口、ホントにありがと」



目をそらすのもなんかヘンで、おれは真っ赤な顔をしながら、中沢を見つめた。

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