やる気の夏(5)
午後6時。
フゥ~。
やる気になるって、結構しんどい。
おれは家に帰ってぐったり。
制服のままベッドに倒れこんだ。
このまま寝てしまおうか。
なんて思ったりして。
眠くなりそうになりながらも、
おれはムリヤリ体を起こした。
風呂入ろっかな。
練習後にシャワー浴びてるけど、それだけじゃァね。
「よっく~ん、ご飯できたわよ~」
一階から母さんが呼んでる。
夏休み中の練習は1日中あるけど、
終りがいつもより早いってのが唯一の利点。
外もまだ明るい。
こんな時間に家にいるのも、なんだか新鮮。
風呂の前にご飯ですな。
おれは一階におりてダイニングへ。
今日のメニューは冷麺。
でも、ただの冷麺じゃない。
作ったのが母さん。 ・・・となれば。
冷麺の上には野菜がどっさり。
更にその上には冷シャブ風な豚肉がこれまたどっさり。
何人分なんだろ。
「・・・母さん」
「なァに?」
「量が多い」
「だって~。よっくん、最近頑張ってるから、お母さん、張り切っちゃった。テヘッ♪」
なにがテヘッ♪だ。
張り切るのはいいけど、量はどーにかしてくれ。
20センチほどのガラスの皿に、山と化した冷麺。
その上の野菜と肉。
麺に到達する前に断念しそう。
おれは上から食べることにした。
「よっくん、混ぜて食べたらおいし~よ~」
「・・・・・・」
おれはチラリと母さんを見たけど、返事してやンない。
母さんは、おれは相撲取りにでもしたいんだろうか。
母さん、今日もおいしい料理を有難う(怒)。
怒ってもしょうがないから、食べる。
食べる。
食べる。
・・・・・・。
誰か助けて(泣)。