やる気の夏(2)
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高2、7月。
夏休み前のテストを終え、気分はもう夏休みだ。
おれ以外は。
正確に言うと、おれたちスポーツ選手以外は、だけど。
毎日毎日、朝から晩まで練習だ。
たまに練習がないと思えば、試合だったりする。
スケジュールもつまってる。
県外の高校を招待して合宿したり、その逆があったり。
試合は2回ある。
休みは、今のところ、ない。
中沢はどーするんだろ。
そーいやァ、去年はどーしてたんだろ。
音楽活動に精を出してたんだろうか。
おれはまだ中沢のライブに行けずにいた。
誘いはあったんだけど、試合とブッキングしたりと、泣く泣く断ってた。
今度こそ。 おれの思いは強くなるばかり。
なにがあっても行ってやる。
おれは宙をにらみ、気合を込めてコブシを握りしめた。
気合を入れる方向が間違ってるような気がしないでもない。
「樋口ィ~」
真木だ。
おれはにらんだ顔のまま振り返った。
「な、なんだよ。声かけちゃァいかんのか?」
ワケも分からずにらまれた真木はあとずさんだ。
「あ、ゴメン。なに?」
「お前、今度こそ、来てくれるんだろうな?」
言わずと知れたライブのことだ。
席に座ってる中沢はなにも言わない。
中沢が来てくれって言ってくれれば・・・。
けど、今まで、それはなかった。
スポークスマンを真木に任せ、中沢はいつも黙ってる。
行けないと言っても、表情ひとつ変えない。
・・・来てほしくないのかな。
イヤがられてるのなら、行かない方がいいのかな。
おれの思考がネガティブな方向へと流れはじめた。
「・・・う、うん」
おれは言葉をにごらせた。
中沢はなにも言わない。
やっぱ嫌われてンのかなァ。
少しだけ、中沢を見た。
中沢もおれを見てる。
ただ見てるだけ。
はァ~。ダメかァ・・・。
おれの心の中で、おれ自身が肩を落とした。
なによ、この言いようのないセツナサ。




