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どうかご自愛を・・・  作者: かのい かずき
32/155

接近(3)

「し、CD、聴いたよ」


「お前、持ってたのか?」


「いや、真木に貸してもらった」


「そうか。サンキュー」


「・・・いい曲ばかりだった」


「よせよ、照れる」


「・・・いい歌声だった」


声が震える。


「だからやめろって」


中沢は本気で照れてるようだった。


おれの視界が急にボヤけてきた。


「樋口・・・」


「・・・ゴメン。あんなこと言ったりして」


中沢の顔を見た。


中沢の目を見た。


けど、視界はボヤけるばかり。


どうしたんだろ。


「もういい。泣くなよ」


その言葉で気がついた。


おれ、泣いてる。


「中沢が、大切にしてるもの、なのに。おれは・・・」


「分かったから」


言葉は少なかったけど、それだけでも中沢の優しさがいっぱいだった。


普段はゼッタイに見ることのない柔らかな笑み。


おれは手で頬をぬぐった。


「謝りたかったんだ。ちゃんと」


「謝ることなんてないって」


「でも、謝りたかったんだ」


「そうか。じゃ、受け取っておくよ」


「ありがとう」


おれは笑った。


おれの中で、塊が消えた。


キンチョウが解けたのか、眠気がおそってきた。


なんてヤツだ、おれって。


「もう、横になれよ」


「う、うん」


ずっと中沢を見ていたかった。


けど、睡魔がおれをジャマする。


「中沢、今度、歌、聴かせてよ」


それが声となったのかどうかすら、自分でもわからない。


「ああ」


遠くから聞こえるその言葉は、おれを心地よい眠りへと誘った。

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