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どうかご自愛を・・・  作者: かのい かずき
31/155

接近(2)

─────────


保健室に入ると、すでに連絡が届いていた。


保健医の先生が仁王立ちだ。


「まだ学校に来るの、早かったんじゃない?」


「昨日までは調子よかったんです」


「だからといって、今日調子がいいとは限らないでしょ?」


はい。その通りです。


でも来たかった。


以前はそんなこと、思ったこともないのに。


「じゃ、ベッドで横になってなさい。薬は持ってるわね?」


「はい。──中沢、ありがと」


おれは中沢から離れようとした。


けど、できなかった。


中沢はおれの腕から手を離すことなく、おれをベッドまで支え続けてくれた。


驚いたけど、ここで過剰反応するのもオカシイよね。


制服の上着だけを脱いで、おれはベッドに入った。


「あ、そだ」


布団の上に投げた制服をたぐりよせ、内ポケットをさぐった。


吸入スプレー薬を口にふくみ、肺へと吸い込む。


即効性の高い薬はすぐに効果を現し、締めつける気管支がゆるんでいくのが分かる。


そして副作用。


脈が乱れ、手が震える。


おれはまだそばにいる中沢に見られないように、手をグッと握り締めた。


「へへ、情けな」


おれは照れ隠しに笑うしかなかった。


「お前、そんな体なのに体操やってんのか?」


「うん、まぁ。あ、でも、いつもこんなんじゃないから」


おれ、今、中沢と会話してる。


副作用とは違う脈の乱れが。


「あ、あの・・・」


言わなきゃ。


「ん?」


中沢は丸イスを引っぱり出して座ると、おれと同じ目線になった。


その顔はいつもの無表情じゃなかった。


優しさを持った表情だった。


ホントは優しいヤツなんだろうな。

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