5章 接近(1)
「おはよ、キミちゃん」
「お~は~よ~」
おはようとは言ってるけど、時間は12時過ぎてる。
キミちゃんの顔がどんより。
二日酔いだな。
「昨日はちゃんと帰ったの?」
おれは少し心配してた。
居酒屋を出て、2次会はカラオケ。
かなり盛り上がった。
もちろん、あの青年5人組も一緒。
2次会でお開きになって、みんな帰ったはずなんだけど。
「うん、ちゃんと帰った。でも、あの中の一人とはメアド交換した」
「ヘェ、やるじゃん」
「まァね。ヘヘ」
キミちゃんは照れたように頭をかいた。
確かに、昨日、キミちゃんは5人組の中の一人とほとんど一緒にいた。
ま、即日お持ち帰りなんて軽薄なマネをしない人なら安心かも。
「仲良くなれたらいいね」
そういう出会いがあるってのは、ちょっとうらやましい。
「小森クンは?」
「ん?昨日の人たちは全員ノンケだよ?」
「どアホウ。そーじゃなくて。新しい人は?」
「できないね~」
そりゃそうだろ。
今のおれの中にはガイがいる。
色あせることのない記憶。
こーゆーのを、未練がましいって言うんだろうな。
悪いか。
誰にも迷惑をかけてないぞ。
ガイ。
今はなにしてるんだろ。
新しい人と仲良くやってンのかな。
それはそれでなんかさ・・・。
だからといって、おれがどうこうできるワケじゃない。
今のおれができること。
それは自分を磨くこと。
そしてガイに認めてもらいたい。
おれが頑張ったことを。
見返したいとか、捨てるんじゃなかったって思わせたいとか、そんなんじゃない。
復讐なんてネガティブな発想でもない。
いつか会えるその日に、おれが立派になったところを見てほしいだけ。
おれが自分に課した理想は高い。
頑張ろっと。




