4章 せつない思い (1)
おれは1週間、学校を休んだ。
全快したわけじゃないけど、登校できるくらいにはなったかな。
けど、
・・・眠い。
午後、母さんはキッチンで夕飯のしたくをしてる。
おれは寝てた。
「よっくん、起きてる?」
遠くで母さんの声が聞こえた。
実際には部屋のドアからだけど。
ドアを開く音。
そして、閉じる音。
「ごめんなさいね。今、寝てるみたいなの」
おれの脳が急速に覚醒へと浮上した。
「起きてるよ」
ドアを開けた母さんは、なにやらうれしそうだ。
「ごめんね。起こしちゃった?」
「なに?」
「お客さんよ。さ、どうぞ」
最後の言葉は母さんの背後へと向けられた。
てか、誰の許可を得たんだ。
フンガイしながらも、おれは少しだけ身支度。
着替えるヒマなんてない。
髪をてぐしで整えるくらい。
・・・あ、パジャマだ。
・・・もういいや。
「先輩、元気ですかァ?」
ドアから顔をのぞかせたのは、新入部員の女子だった。
確かに新入部員なんだろうけど、名前が浮かばない。
「ほら、どける」
後ろから聞きなれた声。
この声は上野だ。
女子新入部員は、体操選手らしい機敏な動作で上野にゆずった。
「入るぞ。入った」
承諾なしか。
「お茶でも用意するわね」
母さんは鼻歌まじりだ。
なにがそんなにうれしいんだろ。
「あ、おかまいなく。すぐ帰りますので」
上野は社交辞令もこころえてるらしい。
「で、様子はどうよ?」
机のイスを勝手に引っ張りだし反対向きにすると、上野は背もたれに腕を乗せて座った。
「あ、お前は床にでも座ってろ」
直立フドウのままだった女子に、上野はうっとうしげに言った。
「うん、ぼちぼち、かな」
おれの目は二人の間を行ったり来たり。
これはオミマイとゆーヤツだろうか。
なんか、イゴコチ、悪い。
「そんなにキョドんなよ。お前が帰ってから、結構心配してたんだからな」
「なにを?」
「お前のことに決まってンだろうが」
なんで? おれの表情は言葉を持つらしい。
上野はおれのクエスチョンを見抜いた。




