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どうかご自愛を・・・  作者: かのい かずき
22/106

罰(7)

「なんのことですか?」


「キミね、分かりやすいのよ。好きな人がいるんでしょ?でも、言えないんだ」


・・・え?


「まァ、恋をして喘息ってのはムリがあるけどさ、よほどロミジュリな恋なのかな」


略すな。


「おれは誰も好きになってませんよ」


と言った瞬間、笹川先生はおれを直視した。


おれは目をそらしてしまった。


「相手に問題あり?それとも自分に問題あり?」


そーいやァ、この先生、臨床心理士の免許も持ってたっけ。


目の動きや表情ひとつで、本人でさえ気づかない心の動きをとらえる。


やっかいな人だ。


「どちらにしても、告白ができない相手か」


カルテを閉じて、笹川先生はマジメな顔で言った。


「こりゃムリだわ。わはは~だ」


さ、帰ろっと。


おれは荷物を手に取って立ち上がった。


「薬出しとくから。なくなったらまた来るようにね。それと、もう少し、自分を知りなさい」


「分かりました。ありがとうございました」


それだけしか言えなかった。


おれの中で笹川先生の言葉がリピート。


恋だって。


誰に?


思った瞬間に浮かんだ顔。


中沢。


・・・・・・!


まさか、そんな。


中沢は男だぞ。


ついでに言うと、おれも男。ついでじゃないけど。


男VS男。


ありえない。


これが恋とするなら、おれのこの一年の中沢観察の理由も分かる。


プラス。


これが恋とするなら、真木と中沢が一緒にいたときのあの感情。


あれが嫉妬とゆーヤツか?


プラス。


中沢にそっけない態度をして、自分にハラを立てた。


イコール、・・・恋。


よくできました。


100点満点。


おれの視界が急にモノクロになった。


先生ありがとう。


おれは自分が分からなくなりました。

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