罰(2)
ケイコちゃんを見送って、おれはショーケースの商品を眺めた。
ガイはいっぱいアクセを持ってた。
その中でも、特にスカルが好きだったな。
けど、高校生のときにはなにもつけてなかった。
おれの脳は「中沢」のいる高校時代へと逆行した。
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17歳。高校2年生。
おれはというと、あいかわらず体操と勉強と、休憩中の読書の繰り返し。
中沢とは口もきいてない。
気まずいとか、コワイとか、そーゆーンじゃない。
接点がないから話しかけることもない。
けど、おれの中沢観察は続いていた。
おれの高校は学年があがってもクラス替えがない。
今年も、そして来年も中沢と一緒は確約。
・・・幸せ。
なんで幸せなんだろ。
誰か教えて。
なんとか中沢に近づけるチャンスはないのか。
そう思ってるあたりがコソク。
フツーに話しかけりゃァいいものを。
・・・できない。
ところがチャンスは思いがけなくやってきた。
神サマ、ありがとう。
授業が終わり、おれは部活に行こうと席を立った。
そのとき。
「お~い、樋口~。お前も来るかァ~?」
ん?なんの話し?
いきなりふられても困るぞ。
話しかけてきたのは真木だった。
こいつも部活に行かなきゃいけないはずなのに、のんびりとしてる。
しかも。
中沢の隣に座ってる。
い~なァ。
なんでそんなにナチュラルに行動できるんだろ。
真木にうらやましさを感じながらも、顔だけは無関心をよそおって二人に近づいた。
「なに?」
「今度の週末、中沢が出るライブがあるんだ。お前もどーかなって」
おれは飛び上がった。
おれにしっぽがあったら振りすぎてちぎれてる。
行きたい!
そう思った。
なのに、邪魔者がいた。
「い・・・」
行くと言え。
さぁ言え。
それがおれの望みだろ?
「行けるワケないじゃん。2週間後には試合があるし」
バカか貴様。
どうして素直になれないんだよ。
しかもこんな肝心なところで。
「2週間後だろ?1日くらい練習サボッも、お前ならラクショーじゃんか」
真木のフォロー。
ありがとう!
よし、そこで考えるフリして、方向転換だ。