22章 おれたちの未来は・・・(6)
病室に戻るまでの間、おれはとんでもないことをしてしまったと後悔ばかり。
自分の幸せを掴むために、ほかの人を不幸にしてしまった。
それでも瑞穂さんは、おれたちを応援すると言ってくれた。
おれたちは生きてるだけで罪なんだろうか。
好きでゲイになったワケじゃない。
望んでゲイになったワケでもない。
気づいたときにはゲイだったんだ。
それを隠して生きてる人もいる。
自分だけがツライ思いをすればいいと。
周りの人たちを不幸にしないために。
おれもそうすればよかったのかな。
マサキのいる病室の前で、おれは大きく深呼吸。
そしてドアを開いた。
「遅かったな。瑞穂、お前に当たったんじゃないかって心配したぞ」
そんなこと、しないよ。彼女はいい人だよ」
「・・・そうか。それならいいんだ」
こーゆーときのマサキの鈍感さには感謝する。
「木崎さんは?」
「帰ったよ。瑞穂のあの発言を確かめに。会社としての対応もあるしな」
「・・・マサキ、あの」
「別れようなんて、言うなよ」
前言撤回。
メチャするどいじゃんか。
「言ったはずだ。もう、離さないって」
分かってる。
分かってるけど。
現実は、社会は分かってくれない。
きっと。
「・・・だって、彼女がかわいそすぎる」
「じゃあ、あいつと結婚しろとでも言うのか?瑞穂はそれで幸せか?お前はそれでいいのか?」
「・・・・・・」
答えられないよ。
「ヒロ、おれたちは今までずっとツライ思いをしてきた。もうそろそろ、幸せになってもいいんじゃないか?他人がどう見ようと、おれたちは変わりようがない」
そうだね。
「・・・泣くな。お前はいつも人のために泣くんだな」
マサキはおれの手を引いて、抱き寄せてくれた。
「泣くなよ。お前が泣くと、おれもツライだろ?」
ゴメン。
でも、この現実を受け入れるには、おれはまだ弱い。
「ヒロ。お前はおれが守る。なにがあっても、おれはお前を離さない」
それじゃダメなんだよ。
マサキ。
おれは涙をぐいっと拭った。
守られるだけじゃダメなんだ。
「マサキ。おれも、マサキを守るよ」
「そっか。頼むよ」
おれたちは、静かな病室で、静かな時間をともにした。
そして、 おれは、 ヴィジョンを見た。




