22章 おれたちの未来は・・・(3)
「じ、じゃ、マサキ、神谷さんをお見送りしてくるから」
「あ、ああ・・・」
なにゆえにおれを選んだのか、マサキには理解しがたいんだろうな。
ヘンな顔してるもん。
「お見送りなら、私が・・・」
「小森さんがいいの!」
焦り気味の木崎さんの言葉もばっさり。
介入を許さない。
「さ、行きましょう」
見送るのはおれなのに、なんだか、おれの方が見送られてる感じだ。
病室を出て、瑞穂さんは一言もしゃべらない。
彼女の背中はスッと伸びて、見た目の身長よりも大きく見える。
エレベーターに乗ると、彼女は最上階のボタンを押した。
「か、神谷さん?ボタン、間違えてますよ」
「いいから、ついて来て」
「・・・はい」
おれ、屋上から突き落とされるのかな。
「──雅樹さん、昔の話をすると、必ず大切な友人がいたんだって言ってたわ」
「は、はァ・・・」
「もう何年も会ってないけど、今でも思いは変わらない、なんてね」
誰もいないエレベーターの中、声が少し震えてるように思えた。
「嫉妬したわ。過去の友人が大切なのは分かるけど、そのときの顔ったら。私には見せたことない顔なんだもん」
おれはなんと言っていいのか分からず、何度も口を開きかけたけど結局何も言えなかった。
「男どうしの友情ってヤツならいいのよ。そーゆーのは恋人とは別なんだろうし」
それです。
そう思ってください。 なんて願ってみたりして。
「私と雅樹さん、付き合って3年になるわ」
おれの頭は足し算と引き算がひっきりなし。
つまり、おれと『ガイ』が別れてちょっとしてからだ。
「雅樹さん、一度たりとも私に触れたことがないのよ」
え、えーと・・・。
「最初は大事にしてくれてるんだって思ってた。けど、どうやら違うみたい」
「瑞穂さん、マサキはああ見えてネがマジメなんですよ」
う~ん。 マヌケな言葉。
瑞穂さんもそう思ったのか、横目でおれを睨んだ。
こぇ~。
「あなた、核心に触れないようにしてるみたいね」
ドキッ。
「──まぁいいわ」
プイッと彼女は顔を正面に向けた。
最上階に到着。
エレベーターのドアが開いた。
閑散とした最上階から、庭園も兼ねた屋上に出た。
風は弱いけど、漂う冷たい空気がおれを凍えさせた。
庭園には誰もいなかった。
瑞穂さんはおれを従えて、ゆっくりと歩いてた。
空を眺めたり、手入れされた樹木を食い入るように見たり。
「・・・あ、あの、神谷さん?」
「あなただったのね」




