22章 おれたちの未来は・・・(2)
「今朝、中沢のお父様から電話がありました」
「親父が?なんて?」
「なにも言わずに婚約を破棄してくれ。会社としてのペナルティも負うから、と」
「まさか。第一、この婚約を進めてたのは親父だぞ」
「そうね。私も耳を疑ったわ」
彼女の体からビミョ~に発散される怒気。
メチャ指向性が高い。
明らかにおれに向けられてる。
「どういうことか、説明を聞こうとしたんだけど、なにも聞かないでくれを繰り返すばかり。話にならないわ」
「ゴメン、瑞穂。親父、どうかしてたんだ」
「そうね。でも、ここに来て、その理由が分かったわ」
見ると、瑞穂さんの手が震えてる。
たかぶる感情を必死で抑えてる。
「父と相談しました。結論を言います」
大きく息を吸って、瑞穂さんはマサキを見下ろした。
「婚約はこちらから破棄させていただきます。慰謝料はいただきません。今後の我が社との取り引きも通常通りです。雅樹さんも今までの役職についていただいて構いません。ですが、社長職は諦めていただきます。新たな次期社長が選出されるまでに、現社長が退任されることがあれば、雅樹さんが代行をお願いします。正式な社長が決まり次第、代行役を降りていただきます。以上です。──なにか質問は?」
ほとんど一息。
お見事。
同時に、瑞穂さんにとってもつらい決定だってことも分かった。
瑞穂さんのお父さんの会社は、マサキの会社の取引相手。
婚約破棄は中沢家にとって痛いはず。
なのに、決定は中沢家にとって都合にいいものに見える。
「・・・み、瑞穂」
「質問はないようですね。用件は伝えました。雅樹さんもお疲れでしょうから、今日は帰ります。では」
マサキの言葉をさえぎり、瑞穂さんはくるりと背をむけ、今度はおれに顔を向けた。
「小森さん、玄関まで送っていただけないかしら?」
ひぃ~。
目からビーム出てるよ~。
コワイよ~。
「お、おれで、いいんですか?」
「はい。少し、お話ししましょう」
こりゃ、バレてるわ。
理由が分かったって言ってたしな~。
殺されるな、おれ。 ぜったい。




